おかえりなさいの破壊力?!

 出かける前に、ちゃんと声掛けをする。

 

 それはワン太が、ことばを理解しているというのが前提。

 最初、母と娘は、懐疑的だった。

「願望やろ、それは」と、私がそうだったらいいのにと思うことで、そう見えてるだけだと。


 こちらのことばを聞いて理解している?!

 というのが、わかりはじめてからは、

「いってきます」を、言うようになっている。


 いってきますがあるから、ただいまがある。


 私が帰宅したのを誰よりも早く察知するワン太。

 車の、音。私の足音。


 私が玄関を開けると、ワン太は、私の部屋から猛ダッシュでおかえりー!というように、尻尾ふりふり。

 鳴くわけではない。

 飛び跳ねるわけではないけど、猛ダッシュ。

 私の部屋が閉まっていて、玄関まで行けないとき、部屋からきゅーん(T_T)という声がきこえることがある。

 部屋のドアを開けたら、

 わーいわーい!というような尻尾ふりふり。


 ああ、帰ってきたぞなもし……


 お買い物、病院だと、そんなに時間がかからないのを理解しているのか、尻尾ふりふりが、甘い。嬉しそうではあるけれど、ノリが違う。


 私が仕事から帰ったときが、


待ってた!ほんとに待ってた!おかえりなさい!


 尻尾ふりふり。


 疲れが吹き飛びそうなくらいの笑顔。



 破壊力抜群の笑顔。




 ちなみに、玄関までおかえりなさいをするのは、私にだけ(ドヤ顔)


 娘の場合は、玄関までいかないけど、今いる場所で、尻尾フリフリからの笑顔。

 姿が見えるまでは、おすわり待機。

 尻尾は、ふりふり。


 ワン太は、私と娘が特別らしい。


 家族なのに、なぜかいまだに、母になつかない。猫担当だからかもしれない……。


 破壊力抜群のおかえりなさい。

 回復の魔法は、精神的疲弊にのみ有効である。


 

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