3日目くらいまでのワン太

 目がさみしそう。常にびくびくしている。尻尾は常にたれさがっている。せまいところ(ケージ)いや。暗いところこわい。雨風、雷、とにかく音にびびりすぎる。


 それだけじゃなく、3日たっても声を出さない。

 もしかして、声が出ない?

 鳴くことを忘れているのか鳴けないのかわからないけど、それでもいいから、ありのままのワン太を愛そう。

 家族の総意だった。


 3日目の夜。

 夜のごはんを食べ終わったワン太。

 おすわり、ふせなどの練習をしていたときだったと思う。


 上手にできたねー。

 と、褒めていたとき。



    ハウ。



 小さめの声だった。

 初めて聞いた声。

 鳴くというより、喋る……みたいな。


 声が出るんだ!

 よかった!

 

 周りの笑顔がワン太を安心させたのか、そのときから、何かあれば


  ハウ。


 と、言うようになった。


 ワン!

 と鳴くようになるのはその先。

 1ヶ月弱くらいだったかな。

 そんなに大きな声じゃなく、遠慮気味。

 全力ではないけど、そのときのワン太には全力だったかもしれない。

 それは、ワン太にしかわからないけど。


 ハウ。

 そう声を出しはじめて、少し距離が縮まったなあ、と。

 

 あの日の、   ハウ。

 今でも、ハウワウワウ……とか、私たちとの会話の相槌で喋るんだけど、そのあたりはまた後日。


 ワン太の引き出しは、まだまだあるよ。


  𓃡   𓃡   𓃡

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