第19話
かつてこの星には70億の住人がいたと言う。
それが今や10倍だ。
「いくら人口を支える為とはいえ、ここまでやるか…」
「言うな、いきなり襲ってくる動物よりましだと思え。」
あたり一面に広がるじゃが芋畑を前に思わず愚痴がでる。
「食べ物が足りないなら増やせば良いじゃない」と言うのりで品種改良が進められ、平米あたりの収穫量が改良前の5倍を越えたらしい。
「ポテトチップス用の芋はもっと収穫量が多いらしいぞ。」
次々に掘り返され選別に送られる芋を見て、人間の欲深さを感じる。
「流石にこの量になると人手で選別できないか。」
大昔は人がやっていた作業も今は自動化されている。記録によると、収穫量が多すぎて人を増やした所で選別が追いつかず、連日の徹夜で倒れる人が続出したらしい。あと、エナジードリンクの売上が爆発的に伸びたそうだ。
結果、色んな所から予算がついて自動選別機の進化が始まったらしい。
じゃが芋から始まった進化は色々な作物に波及し、今や人手で選別している作物を探すのが難しい。
「それでもラインが止まったら人が対応するのね…」
長期休暇中の学生としてはありがたい話だが当分はじゃが芋を見たくない。
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