なまけもの

勝利だギューちゃん

第1話

寒い。

いきなり寒くなった。


先日まで、クーラーが必須だったが、今はヒーター。

まあ、そこまでは大袈裟だが・・・


秋はあったのか?

秋の精霊は、仕事をしたのか?

否、していない。


なまけものだ。

夏と冬に任せて、自分はバカンスにでも出かけているのだろう。


たく・・・

もし秋の精霊が現れたら文句を・・・


「なんて言うの?」

びっくりした。


なんなんなんだ?


「秋の精霊よ。お望み通り出てきてあげたわ」

「女の子だったのか」

「まあね」

「いくつなの?」

「女性に歳と体重は訊くな。君は紳士じゃないね」


もう気にする歳なのか?

結構な、おばさ・・・


「そこから先いったら、ただじゃおかないわよ」

「有料?」

「古いボケは、やめなさい」

話をそらされた。


「で、文句って何?」

「秋の精霊は秋の仕事をしたのか?」

「秋の仕事って何?」


そういやなんだろう?


「紅葉に染めるとか」

「画材を切らしてる」

「食欲の秋で、旨いものくわせるとか」

「私はダイエット中。人が旨いもの食うのは許せない」

「他の動物や植物も混乱しているぞ」

「私のせいじゃないし」


否、あんたのせいだ。


「そうそう。これから春の精霊とバカンスに行くから」

「どこへ?」

「個人情報だから・・・と言いたいけど、特別に教えてあげる」

「どこ?」

「オセアニア」


なるほど・・・

って、納得してどうする。


「てなわけで、この国には春も来ないから」

「夏と冬に働かせる気か?」

「うん」


即答かい。


「じゃあね」


消えた。


試しに・・・


「冬の精霊と、夏の精霊、出てこい」

「なんだよ」

「お前は、冬の精霊か?夏の精霊か?」

「夏の精霊だよ。冬の精霊はお仕事だ」


男性だったのか?


「ちなみに冬の精霊も、男だよ」

「春は女?」

「オフコース」


なんとなくわかった。


「秋の精霊も春の精霊も、昔は働き者だったんだがな」

「うん」

「歳を重ねると、厚かましくなっていった」


人間と同じだな。


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なまけもの 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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