英雄劉堅

第2話 英雄

 英雄の名は劉堅りゅうけんといい、りゅうの王国の第三位の継承権をもつ王子である。


 劉の国は世界の中心であり、この国に属さぬ者は蛮族とされた。

 

 劉堅の父は元はちょうの姓をもち蛮族相手に百戦百勝を誇り、劉王の娘と婚姻し次期の王と見込まれた。

 その父も病により倒れ、正当な血統たる劉堅は幼さを理由に、叔父に王位と母を奪われた。

 王となった叔父は、北伐で活躍した劉堅の父の影響の強い北方から引き離すように、劉堅を南境の僻地へ押し込めた。

 

 劉堅は遠駆を好み、騎上から弓を放って狩りをする。蛮族のような振る舞いは中原で不況を買ったが、南方では多くの危機から身を助ることになる。


 南蛮へ付き従ったのはわずかに一人、隠居した老将のみ。南方出身の老将は耳目に聡く、篩いにかけ選りすぐった原石を劉堅に引き合わせた。

 劉堅も客将となる人物の期待にこたえ続け力をより合わせていく。


 劉堅は、元の領主から実権を奪い、南方の蛮賊と争いながら着々と版図はんとを広げ海に面しては交易により財を成した。

 順調な領地の発展は、私は王であるべきだとの想いを日々強くした。


 中原ちゅうげんの覇者として居座る王、劉堅の叔父は南方の発展を脅威を感じながらも、北方の蛮族に対し王自身が出征に赴く事態が度々発生しており、打つ手はなかつた。

 さらに王の周りの官僚たちは砂金、硫黄、木材等の貢物をする劉堅を従順と観るきらいがあった。

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