中二病は最強です
三冠食酢
第1話 中二病を舐めたら痛い目見るぞ
あれは一年前のことだ。
中学一年生だ。
アニメで見たんだ。あんなにカッコイイ人はいない。そう思えた。
初めてだった。あんなに心踊った事は。
敵を問答無用で倒し、果てしない虐殺を行う。
相手も世界最強。だが、そんなものは相手じゃない。
ひれ伏し、のたまい、降伏する。
だがそんなものは興味が無い。
そして、最後には何事もないようにさる姿。
仲間などいなく、ただその一人に敵は怯えるだけ。
孤高の英雄。
まさに最強。その一言。
僕はそんな姿に憧れた──────────
◇◆◇◆◇◆◇◆
僕はいわゆる世間で言うところの中二病である。
最強の中二病。
とにかく黒い物が好きだ。血が好きだ。そして、なんか遠回しなカッコイイセリフが好きだ。
あと、夜道で一人カッコイイ音楽を聴きながら、フードを被って散歩をするのも好きだ。
なぜなら全て自分が思うカッコイイからだ。あとなんか強そうだから。
自分でも理解している。
中二病なんてバカ。
くっさいセリフを吐いて、誰とも関わらない。
傍から見れば異常者だ。
そうだ、中二病は馬鹿なんだよ。だからこそカッコイイ。「アイ・アム・アトミック」とかあんな単語普通は出てこない。誰が自分自身を核にしようと思うんだ?!
理解不能。だからカッコイイんだよ!自分が思う最強がそこには詰まっている。
それに惚れずして何に惚れるというのだ。
「そんなに最強になりたいならボクシングの世界一にでもなればいいじゃない」
そんな言葉が世の中からごまんといる人間から聞こえてくる。
いい歳して剣を振り回して、カッコつけて、派手に暴れ回ってバカみたいと。
僕は言いたい。
カッコイイを目指して何が悪いのだ!
憧れとは、何かを知ってから憧れるものだ。
僕はまだ、その最強の域に達していない。
だから僕は目指した。最強の中二病を。
体を鍛え、最強をイメージする。
死ぬ気で頑張った。
河川で頑張ったあの時!学校でも、人目を気にせずやった!寝る間も惜しんでやった!
そう!──────────
アニメの主人公が使っていた必殺技を!
「……おいおい、違うだろっ」て声が聞こえてきそうだが、多分あの時は馬鹿だったんだと思う。
過程をすっ飛ばして結論にいったのだから。もっと鍛えるところがあるのに何故、いきなり必殺技を練習したのか。
何しろ中学二年生だ。馬鹿も許して欲しい。
だけど、人はそればっかり考えてるとできるって言うよね。
なんかできたんだよね。
ブワァ!って感じで。
でも、そのせいで町が半壊した。多分半壊どころじゃなかった気がする。
本当に申し訳ない。
しかもそのせいで僕も死んだからね。
自滅だよ、耐えられなくて。笑える。
だが神はそんな不幸な僕にステージを用意してくれたらしい。
ナーロッパのような、魔力があり、力があり、用意に人を殺す世界。
僕は感動した!
こんな素晴らしい世界!本当にあったなんて!
そこからだろう。僕のタガが外れたのは。今でもちょっとやりすぎたと思う。
日本とは違うんだ。使えるものは使わないと。そう思った。
人は殺していいんだ、なるべくクズな奴に。力を使っていいんだ、なるべくクズな奴に。
その結果僕は最強になった。
他の追随を許すことなく、頂点に。
そして今日、僕は世界をターニングポイントとなり動き出す。その力を振るうために──────────
「宴の時間だ……。存分にこの世界へと知らしめてやろうじゃないか。この……、最強を!」
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