第9話 残業代が下りない・・・

久しぶりに妹会ったので、俺の奢りで食事に行く事にした。


相変わらず注文した物は、栄養バランスが良く、おサイフに優しい物だった。


全く出来た妹なんだよなぁ、自分にも相手にも気を使えるのは素晴らしい…が、少々ストイックなんだよなぁ。


「デザートはいらんのか?」


「それは何か達成した時のご褒美…でないと物事にやる気スイッチが入らない」


「なるほどな~」


「最近飲み会が多くて・・・そんな物ばかり食べていると太るのよ!」


「まぁ、飲み会が多いとそうなるわな・・・」


「今の時期、別腹にお金を掛けてもねぇ・・・余ったカロリーはお腹の燃料タンクに貯蓄され、さらに余ったカロリーは、コレステロールや脂質に変化され、肝臓や血管に不法投棄されるの…最終的に見た目も身体も悪くなる、最終的にお金がかかるの、分かる?」


「お、おぅ…」


「普段から気を使い、余り苦労しないのと、幸福の先取りをして、ツケを利子付きで払い続けるのと、どちらが良いか?と言う話しだし。」


「まぁ、人それぞれだしな…最低でも、必要な時に必要あれば良いのが理想だが」


「必要な時に必要分があればの話でしょ…全部とは言わないけど、足りない方に限って無責任な奴や迷惑な奴が多いものよ」


「確かにな…」


中々厳しい事を言うが、正論なので仕方が無い…。


「まぁ・・・料理のお金は気にしなくていいぞ、ファミレスだし、たかが知れている」


「でもね、お兄ちゃん…『会社の金だから』とか『○○さんの奢りだから』とかでお金を無心する方は気を付けた方がいいよ! 大抵、何かしら問題抱えている人だから! 騙されないように!」


「確かにいるわな、そう言う奴…。」


「特に、女子で合コンでは奢ってもらえるのは当然と思っている奴いるから! 美人なら兎も角、普通ならありえでしょ! それでいて彼氏出来ないとか言っているのは異常よねぇ~」


そう言えば、最近行った合コンの中に居たな、そんな奴・・・。


「馬鹿よねぇ~、そんな奴、男性側も見抜いてるし、ウザいだけと気付かないのかしら?」


「そういえば、彼氏とまだ付き合ってんだよな?」


「そうだけど?なに?」


「最近、合コン行ったのか?」


「行ったわよ!嫌々だけど・・・」


「行く意味あるのか?」


「仕方が無いでしょ! 彼氏や友達が『会費出すから、人数合わせと会話の繋ぎを頼む』って頼まれちゃうんだから!」


うーん、会話の繋ぎ? ・・・面倒臭そうだな。


「しかも、今月、12月に入ってもう5回目よ! いい加減にして欲しいわ!」


「・・・まだ今月10日しか経っていないのだが?」


「色んな所から呼ばれるのよ・・・『タダだ!』『半額だ!』で喜ばないわよ!  飲まされる上に食べられないわ、食べられたとしても脂っこい物ばかりだわ、いつまでも話を振ってくる人がいるわ・・・私はキャバクラのお嬢じゃないのよ! 」


相当ストレス溜まってんな・・・食べ物が目の前にあるのに食べられないのに、お酒を進められると・・・嫌なら断ればいいのに。


「いい加減、対応するの疲れた、愚痴こぼせる所あまり無いし・・・」


「使いすぎるのも良くないぞ、少しは断ったたらどうだ?」


「そうしたいんだけどねぇ・・・残念な事に、同じ様な事が出来る人があまりいないのよ!取引先も絡んでいるから逃げられないし」


そりゃ断るの無理だわ・・・。


「お酒を飲むと態度がでかくなったり、絡んでくる奴は勘弁・・・正にお酒は『キチガイ水』ね、アルコールはドラックよ、感情のリミッター外れるから、対応が面倒臭いのよ~対処しない訳にもいかないし・・・私、幹事でないんだけどね、結局色々やらされる訳よ」


まぁ、世間でよくある話だ・・・。


「飲みにケーションだって、全然楽しくないんだけど?そっちはどう?」


「まあ、『飲みにケーションなんていらんから、素面でそのぐらい意見や自己主張しろよ!』と言いたい事は多々ある」


「正直、業務より面倒臭いよね~!」


「しかし、そこまで行くと業務だろ?お金出ているのか?」


「飲み代ぐらいしか出ないわよ!それでも周りは羨ましがるけど・・・」


マジか・・・それはそれで切ない。


「業務として請求はしたのか?」


「したけど『飲み代が出るだけでもありがたいだろ!』と断られた」


実質サービス残業か・・・世知辛い。


業務とプライベートを分ける事が出来ない会社がいまだに多いのはどうかと思うよ・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る