Λ世界線記

マナカタリョウ

第1話 真名方涼は学園区で楽しく生きている

 僕、真名方 涼(まなかた りょう)は、新楼高校に入学してから新楼大学の助教になり今日に至るまで、僕が新楼学園に関わり始めてかれこれ10年くらいになります。


 そして、この10年間ずっと新楼市の学園区に住んでいます。


 途中何年か海外にいましたが。


 学園区には、新楼学園を構成する新楼大学、新楼高校、新楼中学校、新楼小学校などに関連する様々な施設があり、区内全てが学園のキャンパスみたいな感じです。


 学園区には学園のほとんどの学生や教員が住んでいるので、お店だってたくさんあります。


 何の不便もありません。


 新楼学園は新楼県の「研究・教育特区」なので、研究と勉強が大好きな僕にとってはとても居心地が良い所でもあります。




 僕は文学研究科の助教をやっていて、世界思想研究所に所属しています。


 なので、基本的には2号館(文学部棟)か研究所かにいます。


 とはいえ互いに200mほどしか離れていないので、最近は歩行距離不足に悩まされています。


 なんなら自宅も近くにあるので。




 僕の仕事の内容についても少し話しておきましょうか。


 ざっくり言うと、僕は「人々がどのような世界観・宗教観を持っているのか」ということを研究しています。


 個人的には取り組んでいてとても楽しい研究なのですが、一般的にはニッチな研究領域だとみなされていると思います。


 そんな感じなので、僕の授業をとってくれる学生さんは正直物好きだと思います。


 ただ、物好きなだけあって実力者揃いです。


 優秀な学生さんばかりです。


 彼らのおかげで僕の授業では毎度、面白くて斬新な、それでいて理路整然とした立派な意見がたくさん飛び交います。


 そのため、授業を開講し主宰している身でありながら、一学生のように真摯に学ぶことができています。


 しかも僕の授業をとってくれている学生さんの中には、世界思想研究所で一緒に勉強と研究に励んでいる人も数名いるので、彼らとはずっと同じ空間にいるという感じです。


 うざがられてなければいいですけど‥‥。


 一応僕は25歳です。学生さんたちとそんなに歳が離れてるわけではないので、なんとなく彼らとは親しく接することができているつもりです。


 まぁ、あくまで “つもり” ですが。




 ただ、そんなに歳が離れていないといっても、学生さん世代の流行りには置いていかれてますね。


 この数年間は日本から離れて東欧のプレシアやローゼンシアにいることも多かったので(言い訳)。


 最近、「amenbo」や「未明」というバンドが流行ってるらしいですね。


 ドラマの主題歌やCMソングを多く手掛けている方たちだそうで。


 この前、学生さんたちに誘われてカラオケに行ったのですが、これらのバンドの曲が高頻度で歌われてました。


 本土の方でも同じように流行ってるんでしょうか?


 親からの影響なんでしょうけど、僕は1990年代のアーティストの曲ばかり聴いてきました。


 しかし、そろそろ最近の曲も聴いてみないといけませんね。


 聴けばきっと好きになるでしょうし。




 話が二転三転してしまいましたね。


 まぁ、僕が言いたいことは「学園区で楽しく生きているよ」ということです。


 昨今の不穏な情勢にあって、私たちは不安な日々を送っています。


 しかし、まだ日本連邦は日常を謳歌できている段階にあるので、準備と警戒と覚悟を怠らない限りにおいて日常を謳歌するべきだと思います。


 日常を謳歌することが、不穏な情勢とその情勢の元凶に対する反抗になるとすら思っています。


 不安や悪に飲み込まれないよう自分の日常を精一杯楽しみましょう!

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