第六夜 二つのアンサー・ソング

『東京戦争戦後秘話』1970年/創造社=ATG

監督:大島渚 主題:大島渚、田村孟 脚本:原正孝、佐々木守

『機動警察パトレイバー the Movie』1989年/バンダイ=東北新社

監督:押井守 原案:ゆうきまさみ 原作:ヘッドギア 脚本:伊藤和典

『20世紀ノスタルジア』1997年/大映

監督:原将人 脚本:中島吾郎、原将人


 提案。今後、『東京戦争戦後秘話』『機動警察パトレイバー the Movie』『20世紀ノスタルジア』の三本を、一晩のうちにDVDかamazonプライムで見てはどうか、と私が言い出したら、「?」となるかもしれない。


 むろん、これには訳がある。 

 最初の『東京戦争戦後秘話』。これには、『映画で遺書を残して死んだ男の物語』というサブタイトルがある。

 そのアンサー・ソングとして、『機動警察パトレイバー the Movie』がある。これは、「コンピュータ・プログラムで遺書を残して投身自殺した男の物語」だが、その類似を指摘する者は少なかった。おそらく数人だろう。

 一方、原正孝改め原將人が発表した『20世紀ノスタルジア』は、公然とアンサー・ソングであることを謳っていた。

 「少年は映画で遺書を残したつもりだったが、少女(広末涼子)が再編集したことで遺書は無効になる」という反転劇であった。


 おかしなことになる。第一の変奏である『機動警察パトレイバー the Movie』では、これが変奏であると理解した聴衆が数人。一方、第二の変奏である『20世紀ノスタルジア』は聴衆数百人。何とも歪んだ構図である。 

 この歪みは、放置してはおけない。「ネタバレじゃないか」と不興を買うことは承知で、『東京戦争戦後秘話』『機動警察パトレイバー the Movie』『20世紀ノスタルジア』を視聴者に見せて回りたいのだ。


(「東京戦争」の「戦」は正しくは造語で「占戈」である)

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