彼を失った私が、彼を取り戻すまでのお話

水都suito5656

第1話  幼馴染を裏切った私

どうしてこうなったんだろう

私はどこで間違った


希望に満ち溢れた高校生活。

『幼馴染の彼と恋人同士になれたらいいな!』

奥手な私は、そんなことを考えていた。

でもそれは無理な事でした。


高校生は大人だった

いや、私が無防備過ぎたんだ。

お子様だよね


入学して彼とふたりで入った部活には金髪のチャラい男の子がいた。

でもその見掛けの割に純朴で、あたし達はすぐ仲良くなった。


そして、彼が風邪で休んだ日。

教室には金髪の子しかいなかった。

あれーみんなは?

そう言う私をいきなり抱き締めた。

え、なんなの


「離して!」

「オレ初めて見た時から好きだった!初恋なんだ!」


「嫌だったらそう言って、でもオレはずっと好きだから」


そんな一途な様子に一瞬力が抜け、いきなりキスをされた。


頭の中が真っ白になった私は、ドキドキするばかりで、嫌だとはっきり言う事が出来なかった。


お子様だった私は震えながら俯くばかりだった。


そのうち私たちが付き合っているという噂が流れた。


それは彼の耳にも入った。

風邪が治って登校してきた彼はひどい顔色だった


「だいじょうぶ?」

そう声をかけたけど、彼は逃げるように立ち去った。


私は直ぐに気がついた

『これはあの噂を信じているな』


何とか誤解をとこうとしたけど、その機会は訪れなかった。

彼は徹底して私を避け続けた。


そんな日々が続く中で、あたしの心の空洞を塞ぐかのようにスルッと奴が入ってた。

彼がいたポジションに


他に友達らしい友達もいない私には選択肢は無かった。


自然とやつと遊ぶ機会が増えた。

やつの家に遊びに行った時、私は初めてを失った。


この時期の男子なんてやりたい盛なのか、際限なく求められた。


既に投げやりになっていたあたしは、貴重な放課後の時間をひたすらドブに捨てていた。


遂にその事も彼の耳に入ってしまった。

そして彼は居なくなった


この世界のどこを探しても見つからない


この世界の何処にも


そのことを知った私は、一晩中泣き叫びんだ。 けど彼はどこにもいない。

私は己の罪に震えた。


学校も休みがちになった。

奴とも別れた。

別れてすぐに別の彼女を作ったらしい


私たちの関係を知っている人達は私の事を責めた

教室に私の居場所はなかった。

そして私は学校を辞めた


毎日毎日泣きながら過ごした。


「食事くらいとって」

心配した誰かがそう言った事を微かに覚えてる


でも誰か判らなかった。


年の瀬のある日、私は彼を追うように深い眠りについた。


筈だった



*



喧騒が聞こえる。


あまりに騒がしくて目を開けてみる。


そこは入学式のクラス分け掲示板だった。



「な・・・んで」

私は咄嗟にスマホ画面を見る

2023年4月6日・・・戻ってる?



ここは どこ?

辺りを見渡す


見慣れた高校の制服


私は青ざめた

そこは全ての始まりの場所

高校の入学式に


私は戻されていた

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