破局後、さらに試練

のんびり

第1話 友達に破局をほめられる

 一週間前、学級委員長の速水沙月から別れてほしいといわれた。理由はいたって簡単、好きではなくなったというものだった。


 七瀬隆三は必死に慰留しようとするも、沙月の意思は非常に固かった。一年以上の交際にピリオドを打たざるを得なかった。


 家に戻ったあと、親友の国分菊一にラインを送った。


「沙月と破局したよ」


 ちょっとくらいは慰めてくれるのかと思ったけど、まったく違っていた。


「おめでとう、よくやった。お前の人生は明日から、劇的に良くなると思うぞ」


 破局をしたばかりの男に、おめでとう、よくやったはないだろ。そのように考えた男は、慰めてほしいというラインを送った。


 菊一は一分ほどで、長めのラインを送ってきた。普段からいろいろな文章を入力しているのが伝わってくる内容だった。


「見た目、頭はいいかもしれないけど、プライドは高い、すぐにかんしゃくを起こす、他人を見下している女と交際して、何かを得られたか。失うものばかりだったんじゃないか」


 沙月は見た目こそ一流だけど、他人に対する優しさは皆無。自分のことばかりを優先して、隆三の思いを汲み取ろうとはしなかった。好きという感情に支配されて、彼女の悪いところから目を背けていた。


 菊一から次のラインが送られてくる。


「恋人は紹介してやれないけど、女友達に声をかけておくよ。お前の高校生活に、いい刺激を与えてくれるかもしれないぞ」


 沙月と交際していたとき、他の女と会話する機会は皆無だった。美人と付き合っている男を、まるで避けているかのようだった。

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