異世界で四十八手

「誰もいないから、、。」

「うん、、。」

「「暇だわ」」

それもそのはず、ここに来て早四日、やる事がないのだ。

三日までは、何もしなくても楽しかった。(シてはいる)

しかし四日目、急に見慣れてしまったのだ。原理は魔法と思われるコンロや冷蔵庫、風呂、明かり、全てが見慣れてしまったのである。

「そういえばさ、アホみたいな数の本があったじゃん? 」

「確かに」

そういえば、家に入るときに1番最初に目に付いた物だ。何が書かれているのか少し、いやかなり気になる。

「閃、漁ろう。」

「よし、やるぞ。」

漁り始めて小一時間、見つかるのは魔導書、古文書、小説、地図、何ひとつとして惹かれるものが無い。

「つまんなっ」

薄いえっちなブックとか無かったのか? 」

「ん? 散々私としながら、浮気かな? 」

彼がこの世の終わりみたいな顔を浮かべる。正直面白い。

「すいません、冗談です。」

もちろん冗談だと知った上でやっている。

本棚に目を向けると、一つだけ、この雰囲気に合わない本が挟まっていた。それを取り出すと、女神(ってことにしておこうと思う)から手紙が挟まっていて、

「刺激が欲しいんでしょ?」

と書かれている。

「四十八手って知ってる? 」

「それを元にしたラノベも出たくらいだからな、知ってるぞ、そのくらいなら」

「なるほど。で本題。どこまで知ってる? 」

「名前だけなのだが、、、、。」

名前を知っているのはすごいと思うぞ。

「押し出しとか寄り切りとか? 」

あ〜相撲ね。そっちの四十八手じゃないんだけどS◯Xの方なんてこっちの口から言えたもんじゃないんだよな。完全にミスったわ。

「その本、何か面白いものでも書いてるの? 」

「ああ、これ? はい」

「あ、そっちか、と言いたいところだけどは知らないな」

やばい、クッソ気まずい。なんて言えばいいのかすら出てこない。

「しよ……」

最強ワードをしゃあなしに口に出す。この言葉を考えた人はきっと天才だろう。

言った側の顔が赤くなることまで予測している。と、思う。

「うん……」

まあ、三日程時間がつぶれて良かった。

しかし、そろそろこちら側の世界の人間に会ってみたいものだ。よし、提案してみるか。

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