1日目  魔茸の寄生。


この転移者はかなり間抜けのようだ。



転移した後、木の傍でのんびり過ごすことが多いらしい。


裏で魔茸まきのこが群生する木の根元でうたた寝。


最初は魔素反発体質で胞子を無効化していたが、数が多すぎた。

無効化された胞子を盾にして奥へ奥へと生きた胞子が流れ込んでいった。


次第に呼吸器官からゆっくり浸食された。


夜を迎える頃には目の端や肺の中に茸が生え、光る涙を流しながら激しい咳を繰り返した。


苦しみながら茸の群生地に入り、顔面から倒れ込んだ。


暫くすると完全に寄生されたようで、そのまま耳の穴は勿論、毛穴からも小さな茸を無数にはやして死亡。


茸から転移者そっくりの声が流れた。


この転移者は絵を描くことを趣味にしているようだ。

ぶつぶつとその関係の独り言が響いていた。


反発体質がその声が止めた後は、魔素を必要としない単純な茸の苗床となった。




やり直し。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る