主神討伐

この頃には殆ど意思は無かった。

ただ、仕掛けていた時に仕掛けていたものが動いただけだ。


案の定、主神は殺された。



最悪な時に時空のひずみが強まるように調節しておいたのだ。



読み通りそれが来た。



過去最悪で最強の力の持ち主。


時空のひずみは本来ひとりの人の子を通すだけのゆがみしかうまない。


だが、これを少し強めると神格を得られるほどの強さの者ならば無理にこじ開けて通ってこられる。


人と大きな力を持つ者。


その縁が強い時にほんの少しゆがむように……神格を奪われる前の私が仕掛けておいた。



ただ、さすが異世界だ。


運命を司る神であった私でも少しだけ読みを外してしまったようだ。



2体、人と別にひずみに落ちてきた。



恐らく夜の大きな星の力の塊。

異世界語で『月』と呼ばれる星の力の塊。

それがひとつ。


もうひとつは、その世界の最強の魔力を持つエルフ。



世界を壊せる化け物2体が、この世界に現れてしまった。



主神は狙い通り消滅したが、この化け物達は世界に住み着いた。



この化け物の理性がある方……エルフに主神になってほしかったのだが、何度運命を捻じ曲げても神になろうとしない。


この世界を去るか、この世界の均衡を保つために邪神と魔物を討伐し続けるか。


その2種の未来にしか辿り着けないようだ。



ならば、次の神候補が現れるまで均衡を保ってもらうとしよう。

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