聞こえるは願い

「ここが武器屋だよ。」

トンカチ印の看板がかかるところに案内された。

「実際生産職っていうのも確認されてるんだけど、始まってすぐすぎてレベルが低すぎてねNPCの店の方がまだ性能いいんだよね。」

「なるほど。」

そのうちフレンドも増やさないとなぁー。

「まぁとりあえず入ろー。」

「あ あぁ。」

引っ張られるように中にはいる。

「おぉ。」

中には様々な武器があった。

個人的に杖ともう一つ近接武器が欲しい所だがお金がない。

「…けて。」

「うん?」

声が聞こえる。

「…しい。」

「こっちか?」

声のする方へと行く。

どんどん隅の方に近づいていく。

表の彩飾鮮やかな装備は見えなくなりぼろっちぃと言うか粗悪品と呼べば正しいような見た目をした武器が雑に樽の中に詰められたようなものがいくつもある。

「裏側にきたみたいだ。」

今まで色んなゲームや小説だと失敗作や弟子の作品を置いとくような場所だろう。

「寂しい…助けて…。」

声の主はそこにいた。

女の子だった。

背丈は僕より少し小さいくらいだ 黒髪で黒い着物を着て白い帯を巻いて肌は白い 全てが白と黒で矛盾してるような子だった。

「どうした?」

「寂しい。」

あーどうしたものかな。泣いてしまったままで話を聞いてくれそうにない。

仕方ない。

「よしよし。」

昔泣いていた天姫に対して良くしていたこと。

頭を撫でる。

ただそれだけ。

「あなたは?」

少ししたら泣き止んでくれたっぽそうだ。

「僕はコウセイ。きみは?」

「私は…わたしは?」

「名前がわからないの?」

「うん。」

困ったなぁー記憶喪失かぁー。

「どうして泣いていたの?」

「…寂しいから。」

「寂しいか。」

寂しい。クエスト的なことか?

いやしかし、クエスト開始マークないしなぁー。

「まぁなんだ。僕に出来ることなら手伝うよ?」

「ホントに?」

「あ あぁ。」

急にこっちを向いてきた。

「じゃあ。私を使ってね。」

「はい?」

何を言って…。

「コウセイ何してるの?」

「えっ。」

天姫に呼ばれてふと気づくとぼくは刀を持っていた。


レアリティ:ノーマル

ある刀鍛冶が最後に作った刀


「えっあれ?」

あれは気のせいではない。ゲームだぞ。幽霊じゃない。

あれは一体…。







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