第5話 ネコへの態度を悔い改めよ
健「僕はお金や健康を持っていなかったから、それを欲しがることで欠乏を肯定した。そういうことですね?」
セン「うむ、飲み込みが早いな。投げたボールが進み続けるように、貧しい者は自分を貧しくした情報を集め、自分を貧しくした行動を取り続ける。かつてのケンの願望は欠乏として潜在意識に伝わり、より貧乏や不健康になった現在の状況を作り出したのじゃ」
健「潜在意識・・・引き寄せのセミナーで何度も聞きました。僕達の意識の99%は知覚できない無意識の領域で、そこに感情や意思を伝えることで願望を実現できると」
セン「その説明は正確ではないが、概ね間違ってもおらん。人間が自分だと思っている部分はごく一部の顕在意識で、殆どは幼児期に形成された潜在意識の働きによって成り立っている。お主がいちいち指示しなくても心臓や肺を動かせるのは、潜在意識が肉体の活動を常にコントロールしておるからじゃよ」
健「ボケーとして何も考えなくても、眠っていても呼吸が止まらないのは、潜在意識が頑張ってくれているからなんですね・・・」
セン「顕在意識が浜辺に打ち寄せる波なら、潜在意識は母なる海。潜在意識は【基本的に】喋りもせんし、反抗もせん。お主が「お金が欲しい」と言うなら、「お前はお金が欲しいんだな」とオウム返しのように繰り返すだけよ。どこかの科学者はこれを人体の恒常性、ホメオスタシスとか呼んでおったな」
健「お金が欲しいは、お金が足りない。健康になりたいは、不健康だ。なんてことだ。僕は自分の潜在意識に対して、ずっとネガティブなイメージを送っていたんですか!」
セン「気にするでない。誰もが同じ間違いを犯しておる。この地球に住む人々の殆どは自身にないものばかり注目して、それを改善するつもりでより強固にしてしまっておる。それを理解した今ここから、これまでの態度を改めればいいのじゃ」
健「わかりました。これが引き寄せマスターの言った『なる』ってやつですね。セミナー参加した時はいまいち理解できませんでしたが、やっと腑に落ちました。これまではなりたい気持ちばかりが先行して、完全に『なる』ことができていなかったですね!」
セン「いや、それはよくある間違・・・」
健「これからは貧乏や不健康であったことを忘れ、徹底的に脳内から欠乏の気持ちを消し去って、本物になったつもりで行動します。決して潜在意識に邪な気持ちが伝わらないようにっ!」
セン「待て待て、ネッコの話は最後まで聞かんかぁ!
むむぅ、やはりこうなるのか・・・お主はとんでもない勘違いをしておる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます