第5話 ソノフェンの騎士
(あれ? あの人はこの国の騎士じゃなかったっけ)
シズフェを呼んでいる者はこの国の騎士である。
騎士は馬に乗る戦士の事だ。
馬は高価であり、さらに戦闘のために訓練を受けた馬はさらに高価である。
そんな高価な馬に乗る戦士は身分が高い生まれの者か、優秀で馬を与えられた者である。
馬上からゴブリンなどの背の低い魔物に届くようにと
騎士は馬に乗り街道に出る魔物を退治したり、王や貴族の護衛等をする。
また、より身分の高い騎士は王に代わり討伐の指揮をすることもあるのだ。
今シズフェを呼んでいる騎士は討伐隊の指揮官であった。
作戦を説明したのも彼であり、その時に当然顔を合わせているので顔を知っている。
「あの、どうしたのですか? 私はここです」
シズフェは立ち上がると答える。
「おお、ここにおられたのですか戦乙女様。神殿を訪ねたのですが、こちらにいらっしゃると聞きましてな」
騎士はシズフェを見つけると笑いながら近づく。
後ろにいる2名の騎士も一緒だ。
「ええと、連れがいるので神殿に泊まるのは難しいと考えましたので……」
シズフェはケイナとノヴィスを見てそう答える。
エリオスの神々を祀る神殿はどこの国にもある。
そして、神殿は一定の身分を持つ者を宿泊させてくれたりするのだ。
戦乙女のシズフェや司祭の地位を持つレイリアがいるのだから仲間達を含めて宿泊することもできただろう。
だが、神殿で飲食は出来ても酔っぱらって騒いだりすることはできない。
シズフェやレイリアはもちろんマディやノーラも騒いだりはしないだろうがケイナやノヴィスは酔っぱらうと何をするかわからない。
神殿の中で騒いだりすることのは神々に対する不敬になるかもしれない。
過去の話に神殿の中でいかがわしい事をした男女が神罰を受けた話があったりする。
そのため、神殿での宿泊はやめておいたのだ。
「そうでしたか、実は我が国の王子がお願いしたいことがあるらしくて。明日にでもお会いしていただけないでしょうか?」
騎士はそう言って頭を下げる。
「えっ、王子様が? 何でしょうか?」
シズフェは驚く。
王族がお願いするというのは余程の事である。
内容が気になるのは当然だった。
「それは直接王子にお会いしてからでないと……」
騎士は言いにくそうにする。
(何の用事だろう?)
シズフェは首を傾げる。
しかし、この国の王子の呼び出しである。
それを断る事は難しい。
「わかりました。明日伺います」
「良かった。それでは戦乙女シズフェリア様。明日の朝ここにお迎えにあがります。どうぞよろしくお願いいたします」
騎士は頭を下げると食堂から出ていくのであった。
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