第11話

ジュンセside


次の日の朝


俺は目覚めると顔を洗いベッドルームでスヤスヤと眠るチナとチビをギリギリまで見つめ、頬を撫でて優しく起こした。


J「2人とも…起きて準備して。」


俺の言葉にチアは不思議そうに目を擦りながら起きるが、チビは眠ったまま起きそうにない。


C「どこ…行くの?」


J「いいから。出かける準備してください…服は俺の服着ればいいから。」


クローゼトから出していたチアが着れそうな俺の服を指差すと、チアは起き上がり準備に取り掛かる。


その間に俺はまだ眠ったままチビを無理やり起こし、目を閉じたままのチビを着替えさせる。


チビは一度眠ると全く起きないのは俺と全く同じ…


まだ眠ったままのチビの着替えが終わる頃、インターホンが鳴り俺はまだ寝ぼけているチビを抱き上げインターホンを取った。


J「今から降りるんで待っててください。」


準備の出来たチアは俺の服に袖を通し、俺は片手でチビを抱きもう片方の手でチアの手を握るとチアは一瞬、ビクっとしたもののそのまま俺の手に握られたまま視線を落とし歩き出した。


マンションを出て待っている車のところに向かうと自動で扉が開きつい、俺は苦笑いをした。


J「セイジさんおはよ。これなに?」


セ「つい買いすぎた。」


車内にはおもちゃやぬいぐるみが沢山置いてあり、それを見たチビはジタバタとし俺は準備されたチャイルドシートにチビを乗せチアを1番後ろの座席に乗せた。


C「ジュンセ…どういうこと…?」


J「今日は1人だと不安でしょう?俺も事務所でのインタビューだけだから一緒に事務所に行きましょう?」


不安そうな顔をするチアに手を伸ばすとチアは眉毛をハの字にして小さく頷いた。


チビはありがたいことにセイジさんの用意したおもちゃのおかげでご機嫌で過ごしてくれている。


車が事務所に着き、俺はセイジさんが用意してくれたいくつかの小さなオモチャをパパッと手に取り、チビをチャイルドシートから抱き上げ車を降りると車から降りようとしているチアに手を伸ばす。


C「大丈夫だよ?1人で降りれるから…」


J「いいから…俺がしてあげたいんです。」


俺は少し強引に車から降りようとしてるチアの手を握ると、そんな様子をみたセイジさんは横で苦笑いをしていた。


チアが練習生の時に通っていた社屋から引っ越した事務所は、チアにとって初めての場所で周りを見渡すようにして中に入っていく。


すると、チビが暴れ出したのでゆっくりと地面に立たせると、チビは俺の手とチアの手を繋いで満足気に笑ってご機嫌だった。


俺の作業室の階に行き、作業室の扉を開けるとそこには食料と飲み物、チビのおもちゃが準備されていて俺は後ろにいたセイジさんを見つめる。


セ「ついおもちゃ買い過ぎて車に乗らなくてこっちに置いた…ごめん迷惑だったかな…?」


J「セイジさん…最高!!」


俺のその声を聞くとチビは待ってましたと言わんばかりに部屋の中に飛び込み、沢山のおもちゃに囲まれて笑顔を見せている。


そして、チビを事務所に連れてきて不思議だったのは、誰1人としてチビの事を変な風に疑ったり嫌なことをいう人はいなくて俺の親戚の子としてすぐに受け入れてくれた。


しかし、当の本人であるチビは相変わらず、チアをちゃあちゃんと呼び俺のことを父ちゃんと呼ぶ。


C「父ちゃんって呼ばないようにだけ気をつけないとね。」


そんな事言われてもどうやって気をつければいいのかなんて俺には分からない。


だけど…


J「…はい…」


俺にはそう答えるしかないような気がした。


つづく

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