今思えば大切な出会い

 X(旧Twitter)にも書いた通り、大切な出会いだったなと思う方と久々にお会いしました。


 演劇の方です。


 別に僕が演劇を求めていたわけではなく、そちらからやってきたというか、強制参加だったのですが今思えば楽しく、あの時はあまり楽しくないものでした。

 それもそのはず、よく知らないその人がいきなり歌を歌い始め、「表現」することが苦手な僕たちに「もっと大きな声で」「はじけるように」というように「自分らしさ」を出させようとしたのです。

 小学校高学年という恥ずかしがってばかりの僕らが、素直にそんなことできるわけもなく、ただなんとなく最低限をやっていました。

 何度も何度もそんなことを重ねていくと、それなりに裏では面倒臭いというような声も上がっていました。


「演劇」というものをやり始めるにあたって、歌やら踊りやら演じるということやら、いろいろ指導がありました。

 歌ひとつとったって、合唱の時のように歌うのとはまた違う「喋るように」歌うような感じでした。


 演技の経験も少ない僕らが、あの独特の響きの声や話し方で演技ができるはずもなく、「自分を表現する」なんて程遠かった。


 でも、やっていくうちに、褒められるうちに、少しだけ「もうちょっとやってみよう」という気持ちが芽生え、練習にも大体みんな真剣に取り組んで、最終的には文化祭で発表をしました。


 久しぶりに会ったその人が言うには、僕はその劇が終わったあと泣いていたそうです。


 僕自身、劇の内容ももうおぼろげにしか覚えていませんし、泣いたことなんて全く覚えていません。しかし、なにか込み上げるものがあったのでしょう。


 それから、時は過ぎ僕は今「人前に立つの得意でしょ」と言われるくらいには目立ちたがり屋になりました。(そんなつもりはあまりないのですが)

 生徒会長に立候補し落選、スピーチコンテスト入賞、地元のイベントでテーマパークの人のモノマネをし、文化祭でメイド服を着させられ「サインはB」を踊り、部活の顧問に心配と大爆笑をされ・・・

 そして一番は初めての人ともたくさん話せるようになりました。


 これらのことには大小様々なきっかけがあります。

 しかし、こうやって「やってみよう」「失敗してもいいでしょ」みたいな精神とか、表現ができるようになったのは、あの不思議な人のおかげだったなーと今となっては思います。

(物語もインターネットにあげてみようと考え始めたのはこの演劇の後でした。)


 その方とこの前会った時の写真は宝物です。


 人との出会いはその時は「ただの」出会いだと思うかもしれません。

 しかし後から思えば「大切な」出会いになる「かも」しれません。


(出会わなければー!!って思う出会いもあるけどね)


 おしまい













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る