第13話 カタルシス 瀉血としての悲劇
僧堂を出た後で勤務した、あるお寺でのことです。
ここで起きたある事件のおかげで、会社員時代と同じく、それまでの私に貼られたレッテルが違うレッテルに張り替えられ、そのレッテルに沿った運命の展開となりました。
はたしてこれがカタルシス(①古代ギリシアの医学で、病的な体液を体外へ排出すること。瀉血(しゃけつ)。)であったのか。つまり、違うレッテルを貼られることで、私自身にとっては「悪い運命から逃れることができた(瀉血)」という効果があったのか。
弁護士や英検一級という国家試験を取得した、なんてことで自分の人生が変わるのではなく、人の噂や評判によって人生が左右される。
実際、植草何某、なんていう人は、東大を出た大学教授だったのに、電車の中で手鏡を使ってスカートの中を覗いた、なんていう韓流警察得意の下半身ネタ被害に遭い、職も家族も失ってしまった。
公務員として給料をもらい「レッテル貼り」「犯罪・冤罪作り」に精を出す、という人・組織もありますが、禅宗坊主の社会とは、かつての「茶坊主世界」(芥川龍之介「河内山宗俊」)と同じで、人の(悪い)噂や陰口で、自分たちの心を癒やす。
いみじくも大徳寺の老師が「俗っぽい」と喝破(真実を見抜く)された、まあ、ビジネスマンからすればつまらない世界なのです。
しかし、この坊主世界で見た様々な位相が、私にとって、金や物ではなく精神的な救済(カタルシス)になったのもまた事実なのです。
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