クリア後の世界

「勇者様! 安いのそろってるよ!」


「宝石の剣、5000G!!」


「魔導書、在庫あるよ! 一冊500G!」


「へいらっしゃい! 勇者様! 今日はなにをお探しで?」


「えと……傷薬を一つ」


「はいよ! 10Gね!」


「……ありがとう」


俺は勇者と呼ばれている。いわゆる主人公だ。

魔王を倒し、この街、この世界の平和を守った男。

自分で言うが、俺を知らない人はいないだろうという状態だ。


そう、別にいいんですよ。傷薬ね。

彼らにも生活はある。仕切り価格、卸値、原価、人件費、テナント料、水光熱費。

わかっているつもりだ。


世界を救った英雄なのに、と思ってしまう俺は、やはり小さい男なのだろうな。

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