マガツキの災禍

仲仁へび(旧:離久)

プロローグ



 ある日、巨大な生体兵器が、一つの都市を破壊した。

 そこに住んでいた住人達は、わけもわからず巻き込まれ、命をおとしていった。


「助けてくれ!」

「死にたくない!」

「誰か!」


 こだまする悲鳴の中、泣きじゃくる声。

 悲嘆にくれ、絶望する者達。


 阿鼻叫喚が響き渡る。


 死にゆく者達に手を差し伸べられる余裕のあるものは、誰もいなかった。


 それは、主人公であるミレイも、同じだった。

 ミレイは、その中で命を落とした。


 目に付いたのは、空に浮かぶまがまがしい月。

 あたりの空気は紫に染まっていた。


 悪魔のような生物兵器が、頭の中から離れない。


 ミレイは強い恐怖に心を蝕まれ、誰かを助けようという思いにはなれなかった。

 死にゆく運命だったが、立ち上がる気力さえなかった。


 しかし、次に目が覚めた時、ミレイは一年前の都市に立っていた。

 なぜかはわからないが、過去に移動してしまったらしい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る