決戦!魔王城

中城セイ

魔王城大広間の決戦 ~勇者パーティーVS魔王四天王筆頭~

 魔王城の大広間では魔王の腹心である四天王筆頭のバルバロッサと勇者パーティーの剣聖リン、怪盗メリッサ、大賢者フィリスの激闘が続いていた。


「お前たちまで魔王様の御前に行かせるわけにはいかんな!」

「私たちが貴女を引き付けている間に勇者様が魔王を倒してくれます!」

「ふっ、魔王様は歴代最強とも言われるお方。勇者なんぞ相手にならんわ!」

「うちの勇者やって、歴代最強と言われとんねん!魔王なんぞ倒してくれるやろ!」


 そう言いながらバルバロッサにナイフを振るうメリッサ。だが、そのナイフはバルバロッサに手で軽く受け流される。


「たわけ、魔王様に敵うわけ無かろう!」

「だったら貴女を倒し、勇者様の加勢に行くだけ。火焔榴弾フレイムバースト!」


 フィリスの放った火炎魔法がバルバロッサに向かって飛んでいく。


吹雪ブリザード!なら、我がお前たちを倒し、我が魔王様に加勢するとしよう!」


 バルバロッサの放った氷結魔法によってフィリスの魔法はかき消されてしまった。


「そうはさせん!」

「くっ!」


 リンの放った剣撃をバルバロッサは手の甲で受け流そうとするが、その攻撃の重さに弾くのが精一杯だった……。




 そういった攻防をしばらく繰り返していると、フィリスが異変が起きてないことに気づく。


「貴女、ひとつ聞いていいかしら?魔王がいるのはここからかなり離れた場所になるの?」


 フィリスは異変が起きていないからこそ、その質問をバルバロッサにぶつける。


「教えると思うか?」

「ええ教えてもらえると思ってるわ。だって、未だになにも起こってないのよ――――――戦闘の影響が。」

「「「!!」」」


 勇者が魔王の元に向かって20分近く経っている。なのにこの場で感じるのはここで起こっている戦闘の影響だけで、勇者対魔王の戦闘の気配を感じることはできなかった。


「おい、この先にさらにダンジョンがあるって言うんじゃないだろうな!」


 リンが剣先をバルバロッサに突きつける。


「いや、廊下を挟んで向かい側が魔王様がおられる玉座の間だ。ダンジョンはない。」


 この広間にある扉は勇者の仲間たちを魔王の元に向かわせないようバルバロッサによって封印されていた。そのため置くの扉の向こうの様子を見ることはできない。


「そんならうちの勇者様が魔王をあっという間に倒したんかもなぁ。」

「そんなわけ無いだろう!魔王様が勇者なんぞ一瞬で蒸発させたのであろう。」

「いや、うちの勇者様があっちゅう間に魔王の首を落としたんかもしれんで。」


 バルバロッサとメリッサの舌戦は、もはや口喧嘩レベルである。


「そこまで言うのであれば、玉座の間の様子を見ようじゃないか。お前たちが絶望する姿を見れるかもなぁ。」

「いや、貴女が絶望するかもしれませんよ。」

「……ふん。さあ、魔王様によって勇者が倒された姿を見るがよいっっ!!」


 バルバロッサの力により玉座の間の映像が広間に写される。その映像には魔王と思われる少女と勇者と思われる少年が対峙する姿をとらえていた。


「まだ魔王を倒せてはいないみたいですね。……距離が近いのが気になりますが。」

「ふむ、音声も聞こえるようにするか。」

「お願いします。」


 バルバロッサの提案にフィリスが返答した。


「うむ、では音声も繋げるぞ。」


 バルバロッサがそう言って音声を繋げた瞬間、勇者が突然跪き、アイテムボックスから何か小箱を取り出した。


『フィーネ、貴女が好きです。結婚してください!』

「「「「は?」」」」


 勇者は魔王に小箱を開けて中身を見せる。その小箱の中に入っていたのは、指輪だった。

 魔王は、その指輪を見て口に手を当て、頬を赤く染め、うっすら涙を流しながら勇者に返答する。


『……はい、喜んで。ルーク、ありがとう。私も、貴方が好きです。』

「「「「なあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!」」」」


 広間にて魔王の腹心と勇者パーティ、合計4人の絶叫の中、勇者ルークと魔王フィーネが抱き合う姿が流されるのであった。

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