拐かし 始末屋石田光成④
牧太 十里
一 愛妻へ寝物語
長月(九月)十日。夜四ツ(午後十時)
石田屋の小夜の部屋で、石田は
「ああぁ、みつなりぃ~」
小夜は石田に抱きついた。石田は小夜を抱きしめて柔肌を撫でて肌を重ねた。
「みつなりっ、来て~、小夜が受けとめ・・・」
小夜は昇り詰めてさらに石田を抱きしめ、身体から力が抜けた。
「だいすき・・・、みつなりぃ・・・」
小夜は石田の腕の中でまどろみ始めている。
「だいすきですよ。さよ・・・」
石田はそんな小夜を腕枕して抱きしめ、背と腰を撫でた。
小夜はこのまま眠るだろうと思っていると、
「ねえ、みつなりぃ・・・。お話ししてね・・・。そしたら、眠るね・・・」
「はい。わかりました。何の話が良いですか」
「藤堂様の御新造さんの
「小夜と同じに、武家の出だから、興味がありますか」
「うん、あるよ。二人とも
「そうですね。多少なりとも武芸の心得があらねば、打刀と脇差を帯びただけで腰がふらつきますが、多恵之介は堂々としていたようです。
小夜は打刀と脇差を帯びても、ふらつきませんね」
石田は小夜の腰を撫でた。
「はあい。しっかりしてますよお。八重さんが木村多恵之介に扮して、夜盗の捕縛に協力したお話をしてね」
八重さんが木村多恵之介に扮したと言うのは、与力の
「はい、では・・・」
石田は、夜盗の口入れ屋、山王屋の
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