序章 ソロキャンプに出掛けたはずが

第1話 キャンプ欲に火がついた夜

どうも、はじめまして眞道 宗一朗といいます。

凄い字画の厳つい名前かと思います。

うん、僕自身もそう思っています。はい。

普段は、コーヒーショップでバリスタをしています。

お店では、『ソウ』さんとか『ソウ』くんとか、まあ『ソウ』に敬称で呼ばれています。

まあ、『そういちろう』なんて長ったらしいの一々呼んでられないですよね。

大学生時代からそのまま継続して働いているので勤続としてはもうすぐ7年目に突入しようとしています。

特に目標もなく大学4年間を過ごし、卒業して3年…僕は将来何をしたいのだろうと思うほどです。



そんなある日。

高校時代の友人の誘いで、街中で待ち合わせをしている。


「うへぇ、街中随分様変わりしてるやん。

メイワン改装って」


僕は、浜松駅の改札を出た所で小さくつぶやいた。

仕事ばかりだったし、流行り病で自粛自粛であんまり外出とかしていなかった所為か、街中に来るのもとても久し振りだ。

僕の足は、待ち合わせをしているエキマチにあるコーヒーショップへと向かっている。

改札口の正面にあるからまあ迷うこともない。

駅の構内だけで2店舗もあるから1階か2階かでは迷うかもだけど。

確か、1階のはず…。

僕は、お店に入りキョロキョロと辺りを見渡す。

うーん、まだ来てないみたいだな。

僕は、レジの列に並ぶ。

列は、僕の前にサラリーマンが1人いるくらいだ。

やがて、僕の番になる。

レジにいるのは、ちょうど知り合いだった。


「あれ?『ソウ』さんじゃないですか。お久し振りです」

「久し振り、『コウ』くん。最近も釣り行ってるの?」

「ええ、休みの度行ってますよ。『ソウ』さんもどっすか?」

「あはは、まあ機会があればね」

「それはいかない人の返しっすよ。『ソウ』さんと言えばドリップっすよね」

「そそ、ショートのホットで。一応店内利用で…それと、よろしく」


僕は、大体どこにいってもドリップコーヒーしか飲まない。

だから、知り合いならというか他店舗でも知られている。

IDを出し、社割をしてもらう。

会計は、アプリのバーコードで。

『コウ』くんが、ドリップを僕に差し出す。


「『ソウ』さん、ゆっくりしていってください」

「おう…まあ、待ち合わせなんだけどね」

「あはは、まあそんなもんですよね。街中来るなんて」


僕は、ドリップコーヒーを受け取って改札口が見えるカウンター席に腰を下ろした。

ズズズっと音を立てて啜る。

酸味が少ないな…コクはほどほど。

うん、今日もコーヒーが美味しい。

こないな。

僕は、スマホを確認する。

メッセージはなし。

何をしようかな。

ああ、そう言えばバイクのサイドバッグ欲しかったんだよな。

検索でもかけるか。

僕は、普段はバイクで移動をしている。

一応免許は普通二輪と普通自動車は持っている。

愛車は、アメリカンのVツインマグナ。

車高はアメリカンなので低く足がべたつきする。

最近は、旅行もしてないな。

偶には、ツーリングでも行こうかな。

なんか旅でもしたいなぁと思っていると改札口に友達が下りてきたのが見えた。

僕は、飲み終わったカップを捨てて店を出た。


「わりいわりい、遅れた」

「いや、いいけど…じゃあいくか」

「おう、ビアガーデン初だわ」

「僕もだ」


僕たちは、遠鉄百貨店のビアガーデンへ向かった。

夏季のみ開催している。

BBQを楽しみながらビールが飲める夏場の人気スポットである。


「でさぁ、この間キャンプ行ってきたんだわ」

「へぇ、キャンプねぇ」


イワタニのカセットコンロでBBQをしていた。

まあ、雰囲気を楽しむだけの感じだ。

なんにしてもビールは飲める。

ビールはセルフサービス。

ビールサーバーから自分で注ぐものだ。といっても自動サーバーだけどね。

友達はお酒が入ったことで饒舌になった。

まあ、饒舌になったのはいいが同じ話何度すんの?って感じだった。

彼是1時間この話しかしてこない。

彼にとっては、キャンプが楽しかったというだけのことだ。

ふむ、キャンプか。

僕も行ってみたい気はする。

この日。彼との話をきっかけにキャンプの魔力に絆された。



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