底辺YouTuberの俺が10年前に戻ってやり直す! 〜バズる企画を先取りして人気YouTuberに〜

十点

第1話 引退

「引退するか…」

PCの前で1人呟く。

画面には俺のYouTubeチャンネルが表示されている。


nori channel 登録者数 334人


「10年続けてコレは才能無いってことだよな…」


俺の名前は須田典明すだのりあき。底辺YouTuberだ。

15歳でYouTuberになり、今日まで続けてきたが一向に人気が出なかった。

自分でいうのもなんだが、動画のクオリティは高い。顔もそんなに悪くない。

ただ、企画力が無い。

自分で考えた企画はハッキリ言って微妙なものばかりだった。

流行りに乗った動画は人気YouTuberの動画で埋もれてしまい、これも伸びなかった。


「決めた!引退するぞ!!」


10年ダラダラ続けてきたが、決断はすぐにできた。


「最後だし生放送するか!!!」

設定を終わらせて、ツイートをして配信を始める。


【引退します】 いままでありがとうございました!


「こんばんは〜…って誰も来てないか。まぁ生放送自体が初めてだし、誰も来ないで終わるかもな…」


視聴者数 1


「おっ!こんばんは!声聞こえてますか?」


:聞こえてますよ。顔もちゃんと映ってます。


「よかった。初配信なのでちゃんと設定できてるか不安だったんですよ」


:辞めちゃうんですか?


「そう…ですね。そろそろ潮時かなって…」


:残念です。いつも動画を見て元気をもらってました。


(応援してくれる人はいたんだな…)


「いつも見てくれてありがとうございました…とっても嬉しいです…」

申し訳なさで言葉が出てこない。


ふと視聴者数を見ると5人に増えていた。

「みなさんこんばんは。気軽にコメントしていってくださいね」


:こんばんは〜

:辞めないで!!!

:料理の動画よく見てました


「ごめんなさい!引退することに決めたので…料理は俺も楽しかったです!普段あまりやらないので手際悪かったですよね〜」


その後は今まで投稿した動画を振り返ったり、酒を飲みながらこれからの人生について話した。


「あ〜…だいぶ酔っちゃったなぁ…」


:顔真っ赤だけど大丈夫?

:水飲んだ方がいいですよ。

:お酒弱いのに無理するから…

:一回吐いてきたら?


「うぅ…そろそろ終わろうかな…最後なのにダメダメだなぁ…」


:そっか…今日で最後だもんね…

:いつでも戻ってきていいからね


「みんな…ありが…」


ドン!!!!!

バランスを崩して椅子から転げ落ちた


:倒れた?

:大丈夫?

:ヤバくない?


(あれ…体動かない…)


:死なないで

:通報しないと

:ドッキリだよね?

:救急車呼んで!



(人生まで引退するつもりはなかったんだけどな…)


俺の意識はそこで途絶えた




「ん…ここは…死後の世界?」

目を開けるとそこには知らない…いや、知ってる天井があった


「リビングを死後の世界呼ばわりするな!」


「え、母さん?ここ実家!?」


「実家もなにも…ここ以外に家ないでしょ…」


「いや、一人暮らししてたはずじゃ…」


「寝ぼけてないでお風呂入ってきなさい」


言われるがまま風呂場に向かう


「一体、何がどうなって…うわぁああ!!!」



鏡に映っていたのは高校生の俺だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

底辺YouTuberの俺が10年前に戻ってやり直す! 〜バズる企画を先取りして人気YouTuberに〜 十点 @101010I

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ