第39話・北の町はグルメの町

 若葉さんが忙しくなってきた。シルバです。


「チョコレートはこうやって作るそうです」


「なるほど」


「氷魔法良いな」


「玄武の一週間でランダムゲットするしかないけど、基本難しいからね」


「水魔法上げてた方が早いよ」


 料理はいま色々見つかって忙しい。大型漁船に乗ってマグロやアンコウが発見された。私は鍛冶師プレイヤーと協力して、アンコウを吊るす道具と、捌くための包丁を作る。


「ありがとうございます。後は練習だな」


「頼むぞ」


「できたらどぶ汁作りますねー」


「どんな料理?」


「水を使わず、野菜とアンコウの水分だけで作る鍋だよ。美味しいですよ」


 若葉さんはそっちにも情報源があるからね。アンコウ型モンスターはかなり巨体で、捌くにも一苦労だ。


 マグロも大きく、最近ランクを上げて手に入れた緑ネギと合わせて食べると旨い。


 刺身は謎の判定、おそらく寄生虫がいるのだろう。お腹を壊す異常状態がプレイヤーを襲う。お腹の中が痛くなって、回復魔法が効きにくくなる。虫下しを探し出して治療が始まったところだ。


 私はその間、陶磁器やガラス製品を作る練習をする。スキルも開いたりするので覚えようとするが、ポイント不足だ。


「んーとはいえ、多少はスキル無しでもできるな」


 難しいけどできるはできる。失敗作を見ながらルビがやってたら、ルビが習得してお皿とか作り出す。


「凄いぞルビ」


「にゃ」


 アンコウも捌いたりするのもソフィがやりだしたりして、解体スキルを覚えたりする。解体スキルってなんだとなって、調べることになった。


 料理人プレイヤーはいま忙しいところに来た。素材がだいぶ出てきて、再現できる料理が増えたからね。


 どんぶり専門店や、ピザ屋。パスタにカレーと作り出している。


「餃子鍋として作ったけどどうだい?」


「いいですね。これ使わせてください」


「中華鍋は合金が良さそうだな」


「ああ、焦げず、焼き過ぎず、ちょうどいい」


 その辺は研究したからね。餃子用に鍋を作り、他の鍋とか売られる中、鍛冶スキルがだいぶ高くなってきた。


 鍛冶ギルドと大工ギルドのランク上げもしないとね。とりあえず出向いて、色々している。


 しかしこうなると畑を広げたいが、そろそろ別の町で用意しないといけない。


 そう考えると、街道が繋がったから東の町に行った方が良さそうだ。一度行ってみるのも良いだろう。


 北エリアの料理人プレイヤー以外は、水晶洞窟の探索を続けている。もしくは、雪山を越えようとしている。


「山頂付近は雪フィールドですね。唐辛子使用した料理で保温しないと凍死する」


「クマ三さんのラーメンが良いな。いくつか買って、アタックするか」


「そうなると今度はどうするか」


「とりあえず精霊石で資金集めて、装備をいくつか、コボルトさんとこでグレードアップしようぜ」


「だな。猛火の魔術師人形が火、雷魔法使いに適してるから欲しい」


 そういう話があり、いまのところ精霊石はかなり市場に流れ、錬金術師が錬金道具へと加工している。


 私もいくつか作るが、やはり品物を作るのに使うな。


「陶器の壺で熟成させたものもあるな」


「要研究ですね」


 お酒、漬物などなど。熟成箱ではないものでの熟成を確認した。これはこれで味と品質が変わり、物作りに必要なことだと思う。


 戦闘はほどほどにして過ごして、次は東の町へ行く予定を立てておこう。


 エルフの国? あそこは面倒だから行かん。


 それにアップグレードや目的が無くなったプレイヤーがエルフの国に行って開拓し出してるらしい。私達が関わらなくても良いだろう。


 私はそろそろ、アンコウ設備も整えたし、一度別の町に移動しようと思う。


「お供しますね」


「ああ、いいのか?」


「はい。他の子も自分達で考えていますから。おばさんがいなくても大丈夫ですよ」


 そういう話になり、行き来を確認したりして出向くつもりだ。


 そしてアンコウの方だが、旨い。


「なかなかうまいな」


「ですね」


「おいしー!」


「もぐもぐ」


 子供達も喜んで食べている。アンコウを見つけたプレイヤーに感謝だな。


 こうして静かに過ごしながら、北の町はグルメの町として発展していっている。在住するプレイヤー達は軒並み料理人プレイヤーである。


「カレーのコテハンはもらった!」


「スープカレーは任せろ!」


「俺のラーメンもまだ終わりじゃねえ!」


 みんな元気だなと思いながら、NPCも負けずと料理店を出す。


 味噌醤油などの調味料専門店ができた。これには料理人プレイヤーは歓喜する。


 お米のお酒やみりんを扱う店も獣国にできたし、少しずつだがこの世界は発展していると思われる。


 この調子で頑張っていこう。


 こうして私はブログにはどぶ汁を載せて、ログアウトした。

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