第38話・レイド戦終結

 中央の戦闘が始まった。相手はフォレストドラゴン。巨大モンスターのレイド戦だが、私は雑魚モンスターと広範囲攻撃でフォレストドラゴンにダメージを与えるだけにした。


「んーこいつ足は木の根っこが集まったようなものか」


 それにバーストオイルをぶつけると、ヘイトがすぐに私に向く。弱点かここ?


 ダイチが正面から受け止めた瞬間、周りのプレイヤーが一斉攻撃。


 ソフィも背中に乗り切り刻み、ルビの砲撃が削っていく。


「オイル効くな」


「在庫いくつかお願いできますか?」


 こうして安全地帯に移動してオイルを作成。基本はバーストオイルをぶつけたり、一番やばい奴の火力を試す実験をした。


「やべー」


「すげー」


「燃えとるやん」


 フォレストドラゴンが爆炎に包まれ、火の粉が舞い上がる事態に。頼まれて投げたトッププレイヤーの人がすげえなと思いながら、投げた物は巨大モンスター専用にした方が良いと教えてくれる。


 スリップダメージを受けながら、フォレストドラゴンはついに倒すことができた。


「結構早かったな」


「中央は協力関係者しか集めなかったし、雑魚戦に問題児が足止めされたからな。あとは予想より早く倒せたところか」


「根っこへの火属性ダメージが弱点で、シルバさんのバーストオイルのやばい奴は顔からかかって、延々とダメージ与えてたからね。それにがんがん火魔法の高位ぶつけたからか、倒せてよかった」


「おっ、深緑龍の若葉だって、結構数が入るな」


「枝は杖カテゴリーだな。結構強力だが、火属性は使用不可か」


「美味しいのは深緑龍の琥珀だね。レア度が高い」


「シルバさんは?」


「木材と琥珀ですね。後は若葉。結構アイテム確保できました」


「そうか、テイマーだからテイムモンスター分もドロップアイテム確保できるのか」


「まあプレイヤーよりかは獲得する数とか減ってるけどな」


「ないよりマシですよ」


 とりあえず後は勝利アナウンスを聞く。どうもこれにより街道は繋がり、守られたらしい。


 これで東と北は馬車などで交流可能になり、町レベルがどちらも上がった。


「なにが変化しているか確認しなきゃ」


「検証班は大変ね」


「結構北じゃ当たり前になってる食事が東でできると、東エリアの難易度が一気に減るな」


「初心者おすすめエリアよね。これで食事やアイテム、錬金レシピが流れてきたら選ぶ人多そう」


「いまのうち南か西に陣取るか?」


 そんな話を聞きながら、私は若葉さんのところに戻る。若葉さんは祝杯の料理も作り、子供達を出迎えた。


「みんなケガはない?よく頑張りましたね」


「うん」


「母上と父上がいたから」


「頑張りましたー」


「お腹減ったー」


「ごー」


 こうしてレベルアップもかなりして、祝杯として冒険者ギルドで宴が始まった。


 玄武様がなぜかいて、夜姫と飲んでいる。


「夜姫どうしたの?」


「昔の知り合いに連れまわされて」


「皆の者よくやった。東の者と協力してフォレストドラゴン討伐は見事。これは私からみんなへの報酬だ。受け取りなさい」


 玄武の加護が一斉にプレイヤーに付く。みんながやったと歓声を上げ、私はありがとうございますとお礼を言っておく。


 玄武様はおつまみを食べにピザコーナーへと向かい、料理人プレイヤーは名前を売るために全員協力体制で出しているようだ。


「明日は少しゆっくりしたいね」


「そうですね」


「とりあえず。お疲れさまでした」


「はい、お疲れさまでした」


 一息つき、やれやれと腰を叩く。現実だと絶対にやばいことになっていたが、この調子でこのゲームを楽しみ続けよう。次はそろそろ、孫が来る頃か。


 第二陣ゲーム買えれば良いけど。


「予約が間に合えばいいが」


「あー確かにそうですね」


 孫は一人だが、買えるか不安だな。とりあえずはお疲れ様会を楽しみ、ゆっくりするのであった。


 ちなみに後日、フォレストドラゴンは小さくなり、ボスモンスターとして何度もオイルの的になる。


 落とすアイテムも琥珀がアクセサリーなどに加工でき、杖は火属性で無ければ高精度のアイテムのため、欲しがるプレイヤーはたくさんいる。葉っぱは薬に使えるため、数を求められた。


 対策としてオイルが効くため、狩場として有名になり、オイルが高騰することになるのだが、その時の私達はまだ知らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る