第31話・買い物や探索

 五日目、店をしながら探索を続ける。トマト無いかな?


「見て見てパパ、こんなにやっつけたよ♪」


「うんうん。今日は貝柱のシチューかな?」


 貝のモンスターを倒して子供達がわーいと喜ぶ。


 ダイチも嬉しそうで辺りを見渡している。やはりそうそう見つからないか。


「父上、なにかお探しですか?」


「ん、トマトっていう、私達の世界の野菜をね。あればいいなーくらいだけど」


「なんと、ならユキ達が見つけます」


「んー一緒に探そう? ユキ達は知らないだろ」


「それはそうですけど」


「どんなものですか?」


 ルビの言葉に、真っ赤な実であることとか教えると、四人娘はなにか思い出したかのように案内する。


 そして隅っこで群生するトマトらしき野菜がある。おおっ。


「トマトか?」


 近くで見て食べる。うん、トマトだ。これはトマトだ。


「どうしてここにあるってわかったんだい?」


「村の人から色々植物を聞いてました」


 カナリアが言うには、島の隅に真っ赤な毒っぽい実があることを聞かされていたらしい。へえ、そんなことになってたのか。


 野菜を回収、名前はレッドマト。大切に育てよう。


 これだけあれば私はイベントは満足だ。みんなのレベルもだいぶ上がり、あと少しで10レベル、スキルも中級スキルに手が届く。


 少し集中するか、鍛える方向でゲームをするとしよう。


 店に戻ると、若葉さんの手伝いだ。ユキは料理スキルが生えたから、戦力入りしている。


 氷魔法で物を冷やして、冷製パスタなど作れるようになっていた。


「母上、これでどうですか?」


「うん、偉いわユキ。この調子でお願い」


 こうして過ごす中、ワールドアナウンスが流れる。


『ワールドアナウンス、ワールドアナウンス』


『遺跡調査により、プレイヤーがボスモンスターを撃破。これによりアンデッドモンスターの大量発生は解決しました』


 おー凄いな。攻略したプレイヤーがいるらしい。


『これに伴い、イベント六日目に、各々の分野で活躍したプレイヤーに王様からお礼が渡されます。プレイヤーはぜひ当日王城にて、報酬を受け取ってください』


 王からの謝礼という名目で、私の元に王へと謁見権というのが渡された。えっ、私はそんな活躍したか?


「あなた、私にも謁見するようにとのことです」


「ほへー」


 スパイスがそんなに凄いのかな?農業をしているという話だから、無視はできないだろうが。


 ともかく、王城に行ってイベントをこなそう。レベル上げしたいけど我慢するか。


 お皿を洗うことを手伝い、畑の世話に動いたりと、私は動く。


 畑の方に行くと、遠巻きにコボルトの青年が田んぼを眺めている。


「どうしました?」


「あっ、いえ、あれがお米になるんですか?」


「はい」


 彼はお米に興味を持つコボルトくんだった。米の作り方を教えてあげようかな?


「いいんですか?」


「私は専門で無いですから、どうしても中途半端になるので執着は無いんですよ」


「そうですか」


 お米の精米やら、道具を見せたりして、インスタント調理場を使用。お米を炊く。


 お米を炊くのは久しぶりだな。


「そろそろいいか」


 うん。うまく炊けた。だけどまだまだだな。


「土鍋があればいいんだが」


「土鍋ですか? それなら国の特産物で売られてますよ」


「おっ、そうですか?」


「はい。陶器、土器など、我が国の名産の一つです。調べに行ってはどうですか?」


 良いこと聞いた。土鍋ならば私にも簡単に炊ける。最近料理スキルが生えてきたからね。


 長年、と言っても最近は炊飯器だったが、お米を炊けた。久しぶりの自分で炊いた米はなかなかだった。


「うまいですね」


「はい、久しぶりでしたからよかったですよ」


「これが酒やいろんな料理のもとになるんですか?」


「はい、麺やパンに並ぶ主食の一つですね」


「なるほど」


 こうしてコボルトの青年と別れ、私は土鍋を見に行く。


 陶器も良いのが売られていて、いくつか購入。鍛冶スキルで製作できるようなので、材料も買う。色々作ってみたいんだ。


 その後は蜜を取りに、ソフィが頑張る。ソフィだけぐんぐんスキルやレベルが上がるな。前に出過ぎなのがいけないが。


 刀も強くしないといけないな。研究研究。


 そう言えば王様に会いに行くのか、服装とか気になるな。


 若葉さんのもとに帰り、それを伝えると、確かにそうですねと言って、早速ドレスとスーツを作り出す。


「あなた、今日は少しギリギリまでログインしたいのですが」


「いいよ。晩御飯は私が作るよ」


「すいません」


「ダイチにも衣装作らないとね」


「はい、頑張ります」


 こうして妻と別れてログアウトする。ブログの方は土鍋などのあげておこう。珍しい可能性があるからね。


 あとは、王城か。なにがあるんだろう。そう思いながら、晩御飯を作ることにした。腰の調子は今日はよかった。

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