第2章・第一回イベント開始

第9話・イベント一日目

 イベント当日、パーティを組み、待機する。


 パーティはテイムモンスターなどを含め、6人パーティであり、それ以上は組めない。


 組んでいれば経験値が全員に入り、ドロップアイテムも増える。テイムモンスターの場合でもそうなので、テイムモンスターはそこそこ人気だ。


 現在は強いテイムモンスターが未発見ということもあり、中間くらいの人気。主に一突き兎など、可愛い系を愛でるために取る人が多い。


 私達はプレイヤー二人にテイムモンスター二体で待ち、そして転移魔法陣に乗り、南の島へと移動する。


「あらあら、浜辺ですね」


「ああ」


 若葉さんはカナリアと手を繋ぎ、ダイチも辺りを見渡す。


 周りにはプレイヤーはいない。まずは海辺を探索するか。


「固まって行動しよう。とりあえずセーフエリアを探さないと」


「はい、行こうねカナリア、ダイチ」


「うん」


「ごう」


 私のテイムモンスターなんだが、若葉さんに懐いていてよかったよ。


 ◇◆◇◆◇


 風魔法をカナリアが使い、猿モンスターを撃退する。しばらくは密林の中を進んでいる。


「おっ、薬草があったぞ」


「タンポポもありそうね」


「とりあえず奥まで来たが、いまのところなにもないな」


 そうして進んでいると、人の声が聞こえる。ふむ………


「そっちに行ってみるか」


 全員で移動していると、寂れた村へたどり着く。いまはプレイヤーが多く居て賑やかだが、色々話し声と相談など聞こえてくるな。


「すいません、ここはどこですか?」


 私は近くのプレイヤーに話しかけた。最初テイムモンスターを見て驚かれていたが、それ以外は普通に対応してくれた。


 ここはセーフエリアで、数名の町の人がいること。ほとんど人は少なく、なるべく静かに暮らしていた。


 船の行き来がよくあり、それで食べ物に困ることは無かった。


 プレイヤーが多く来て、ついでだからとモンスターの住処など教えて、退治してもらっているようだ。


「なるほど」


「生産職プレイヤーは広場で市場を開いてるよ。そこでポイントを集めてるんだ」


「ありがとうございます」


「いえいえ」


 こうして広場に行くと、いろんな物を売っている。


 回復薬、素材、食料など。とりあえずなんでも売っていた。


 市場を管理するのは、さすがに村の人で、衛兵の兵士らしい。


「ここの管理を任せられている。『オットン』と言います」


「オットンさん。私達も店を出したいんだが、良いだろうか」


「ええ。いまだとここのスペースですね」


 そう言われたところに店を置き、とりあえずクワとスコップ。ロープと食べ物を並べた。


「すいません。このクワください」


 最初の客は村の人だ。クワが欲しかったと言って、クワを買う。


「はいはい」


 クワの適正価格は3000ポイントにしている。鉄製より安くした。


 クワを買うついでに種が無いか聞かれ、種も少々売る。この人には喜ばれた。人が増えたから、作物に不安があったようだ。


 しばらくしたら、立派な鎧を着た若い冒険者がやってくる。この人はプレイヤーだ。


「すいません、このサンドイッチと焼き魚ください!」


「はいはい」


「あとこれ、醤油使ってませんか? 匂いが良いし、発見されたんですか?」


「他の人は見つけていないんですか?」


「ええ」


「それだと醤油単体でも売れるかな? 売り物に上げよう」


「本当ですか? 知り合いに料理人がいるから買い取りたいんですけど」


 こうして醤油と味噌も売れて、そこから話を聞いたプレイヤーや村の人が買いに来る。


「少し忙しいな」


「ええ。まさかここまで品物が見つかってなかったなんて」


 それでもかなりの量を持ってきている。そうそう無くなることは無いだろう。


 とりあえずはみな、マナーを守る良い人ばかりであり、問題なく店は完売するのであった。


 隅っこで置いてあった回復薬も売れて、少しポイントは多めに手に入った。


 私達はその後は村の施設を見る。施設は少し大変だった。


「時間制限があるんですか」


「はい。鍛冶、調合はスペースが限られていますから」


 それでも問題ないのなら、借りられるのは確認した。


「服飾と錬金術は?」


「錬金術は無いですが、服飾なら村の家でできます。どなたかにお願いすれば使用できるでしょう」


 そうなると、宿の確保がいる。下手をすれば野宿か。


 村の人に泊めてもらうという選択肢もあるが、条件次第らしい。


「ああ、さっきの人」


 私達はクワを買った村人とまた出会うことになった。


「どうも。従魔と共に泊めて欲しいのですが」


「ウチは農家だから、農作業を手伝っていただければいいですよ」


「ならお手伝いできます。お願いしても?」


「はいはい、私は『ノット』。村唯一の農家の主人です。娘もいるのでよろしくお願いします」


「はいはい」


「ごお」


「わーい」


「それじゃ、まずは畑を耕さないと。手伝っていただけますか?」


「はい」


 こうして畑を耕し、種を撒く。


 ダイチも手伝い、ダイチが農業スキルを獲得した。


 こうして初日を終えて、今日はログアウトするのであった。

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