第8話・強化されていくコボルト

 アイテムの確保、スキルのレベル上げなど、やることは多く、別れて行動した。


「くっ、ダイチ無理するな」


「ごう」


 回復ポーションをかけて、ダイチのHPを回復させる。


 鉱山で精霊石を手に入れようとしたが、なかなか手に入らない。


 鉄鉱石は多少多く手に入るから助かるが、難しいね。


「やった。水の精霊石だ」


 さっき雷の精霊石を手に入れたところ、立て続けに出てくれて運が良い。


 いったん戻って、醸造樽を作ろう。


 町に戻るとき、プチウルフと戦うことになる。ダイチがいれば、プチウルフとも戦えるようだ。


「よしよし、皮が手に入ったぞ」


 そろそろ裁縫スキルを上げたいと、若葉さんが言っていた。これでスキルのレベル上げができる。


 町に戻り、農作業をしていると、若葉さんが戻ってきた。


「それじゃ、作ってみますね」


 若葉さんも教会でお祈りを繰り返していたら、私と同じ加護を手に入れた。


 そんな若葉さんが作るのは、皮を革へと変える作業。そしてその革を使い、上着とズボン。靴を作る。


「靴の作り方は教えていただいたのよ」


「へえ」


 身体装備にプチウルフジャケット。腰装備にプチウルフズボンを作る。


 一突き兎の革靴を作り、何度も作り直して性能を高めた。


「私も良いの作らないと」


 木材と鉄鉱石から、角材とインゴットを作り、角材は杖へと加工する。インゴットは鉄のメイス作りだ。


 石工のスキル上げは若葉さんと共に、石工のバイトをする。建物作りとかに石を磨いたりするらしい。


 こうしてスキルを上げながら、錬金術でクワやスコップも作る。


「ふう、少し大変ね錬金術」


「そうだね。だけどあと少しで5レベルだよ」


「頑張りましょう」


 5レベルになると少し変わる。安定した物作りができるようになるから、錬金術もそうなるだろう。


 そしてレベルが5になると、新しいスキルがアンロックされた。


「【付与術スキル】? 5ポイントか、ギリギリだな」


「ポイント使い過ぎなんですよ。私は取ります」


「なら私も取るよ」


 付与術スキルのアーツは、道具に効果を付与する。私の場合、土の防御力、耐久値。水は水耐性と防水など。


 若葉さんは火は攻撃力、風は素早さ、神聖魔法はアンデッド耐性などを付与できる。


 装備しないアイテムに付与をして、レベルを上げてから、性能の良いのに使うことにした。


 プチウルフの革軽鎧というのに、衝撃耐性(中)を付けることができた。


「ふう、少し大変だな」


「あなた、さすがにマナポーションが無くなりましたよ」


 MPを使うため、下級マナポーションを使い続けた。おかげでレベルはかなり上がったが、また作らなければいけなくなった。


「そうだ。薬作りも試したいことがあったんだ」


 乾燥、成分抽出というアーツがある。これを使い、薬草などの扱いを変えて、品物を変えようと思っていた。


 薬草を乾燥させたり、成分抽出でできた液体を混ぜたり、煮たり。


 実験をしながら薬を作る。


 分かったのは、同じ下級回復ポーションでも、回復値が変わっていること。増えたり減ったりを繰り返して、これという作り方を見つける。


 そうして過ごしながら、レベルとスキルを上げて、品物を用意した。


 ◇◆◇◆◇


 慣れてきた鉱山探索。若葉さんの料理を食べながら休んでいる時だ。


「………この山脈はどういうモンスターが出るんだろう?」


 気になった私は、山の探索をすることにした。


 山のフィールドではイノシシや鹿が出てきて、ダイチがいなければ倒されていただろう。


 ダイチの防御力のおかげで進めることができて、そんなときに声が聞こえた。滝の音が聞こえたので、そちらに向かう。


「おお、綺麗な水だな」


 セーフエリアか、モンスターの気配はない。湧水が小さな滝として流れる水辺を見つけ、休憩する。


「ここでご飯タイムにしよう」


「ごうごう」


 ダイチは魔力がご飯だ。私のMPを渡したら、私は若葉さんが作ったパンのサンドイッチを食べる。


 そうしていると、視線を感じた。


「上?」


 上を見てみると、白いワンピース姿の少女がぷかぷか浮いてる。幽霊か?


 いや違うな、鑑定をしてみたところ、風の精霊と出ている。


「こんにちは」


「………」


 ジーと私の持つサンドイッチを見ている。食べたいのだろうか?


「食べるかい?」


「うん♪」


 声を出せるのか。そう思いながらサンドイッチを渡すと美味しそうにほおばる。


 私は串焼きを取り出して食べる。サンドイッチを食べた精霊は、嬉しそうににこにこして服のすそを掴む。


 テイムしますかとウインドウが出た。


「ご飯まだ食べたいのかい?」


「うん♪」


 なら仕方ない。こうして私は風の精霊。名前を『カナリア』と名付けて、若葉さんのもとに連れていく。


 若葉さんは嬉しそうに料理をして、ご飯を食べさせた。


 こうしてゲームを過ごしていると、イベント当日になるのだった。

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