マンホールに落ちたらそこは異世界でした〜スマホでつながる妹と現地のヒロインどっちが良い?〜
ごっつぁんゴール
第1話 歩きスマホ駄目!ゼッタイ!
鏡の前でそこに映る顔を凝視する。どこまでも平凡で特徴のない顔、でもよく見たらブサメンでもないし見れた顔じゃね?じゃねーか……
「ここまで普通だと逆にすごいよな?」
「ビックリした!いきなり何お兄ちゃん?それより早くご飯食べちゃってよ〜」
通りすがりの妹の
「ほーい、今行くよ」
ウチは俺と妹の舞との二人暮らし。両親は昨年交通事故で他界。加害者がかなりの資産家で、相場以上の慰謝料を払ってくれた。そのうえ親戚が居なくて施設に引き取られそうになった俺等の後見人となってくれ、この家でまた兄妹ふたりで生活できるように手配してくれた人でもある。
両親の生命保険や遺産と事故の慰謝料で、舞の大学までの学費と生活費は賄えるので将来の心配もいらない。俺は……まあどうとでもなるだろう。うん。
「いただきます!」
「ハイ召し上がれ♡」
やたら嬉しそうにニコニコしながら俺が食べてる様子を眺めている舞を見やる。
兄である俺は平凡で特徴のない顔立ちだし、両親もそんなに優れた容姿をしていたわけではない。だが舞だけはどういう遺伝子のいたずらか、とんでもない美少女に成長した。
セミロングのストレートヘアに、容姿端麗でどちらかというと冷たい印象を他者に与える容貌。一転笑ったときの花が綻ぶような魅力的な笑顔。162センチと若干平均より高い身長に女性らしい曲線を描いたボディライン、そこからすらりと伸びた長い脚という完璧なプロポーション。
そのうえスポーツ万能、学力優秀と文武両道。
さらに我が家の家事の一切を取り仕切る家事力の高さ、つまり女子力の高さが加わる。
下は中学生から上は大学生まで、告白・ナンパをするヤロー共が後を絶たない非の打ち所がない完璧少女!それが我が妹である!!
だが若干ブラコン気味なのは悩みどころだな……
「どうしたそんなにニコニコして?」
「だってお兄ちゃん、美味しそうに食べてくれるんだもん」
「まあ実際美味いしな」
「ありがと♪」
「ご馳走様でした」
「はい、お粗末様でした」
食器を流しに持っていこうとする舞を止めて、
「今日は生徒会の日だろ?洗い物やっとくから早く行きな」
エプロンを外しながら、
「あーそうだった……ありがとね。じゃあ先行くね?」
「おう、いってら〜」
舞を送り出して洗い物を済ませ、俺も登校の準備をする。身支度を済ませてもう一度鏡の前に立つ、やっぱり普通だな〜。まあいいや!普通が一番、ブサメンじゃないだけマシだわ……違うよね?
普段は舞と一緒に登校しているが、週に1〜2回ほど舞が所属している生徒会の早朝業務があるので一人で登校している。
そういうときはスマホゲームをプレイしながら登校できるからイベントが捗る。舞がこういうスマホゲーを毛嫌いしてるので普段は隠れて遊んでいる……無課金で遊ぶ分には良いと思うんだけどな〜
昨日から始まったイベント、普段は報酬シブいのに今回はえらく奮発してるんだよな。
「あらら、今日は絶好調だな」
普通無課金のプレイヤーなら貰えるのはイベント参加報酬とイベントクリア報酬くらいで、ランキング報酬なんか無理無理。そんなもの重課金者様方の独壇場なんだけど、今日はどうした?やること成すことハマりまくって、このままだとデイリーでのランキング報酬が狙えるぞ?
「マジか!?これがハマんの?行っちゃうぞ!」
現在101位、無課金でこれは神の領域なんじゃね?
「行けるぞこれは!無課金でこれは異次元だろうが!」
ついに98位!100位を切った!「ヨッシャ!」と叫んだ瞬間フワッとした浮遊感、咄嗟に見た右側に丸い鉄製の板。「マンホール」と頭の中で形になったときには、今度は体が落ちていく感覚に「あっ死んだ……すまん舞!」と妹に謝ったね。
でも、ストンと思ったより軽い衝撃でビックリ……って、
「……土?てか森?なんで?というかどこだここ……」
え?……どゆこと?
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