人類総勢一桁だってさ☆

 プロローグ中、ずっと長々と喋っていたが、皆様に俺の正体と今の現状を知らせよう。

 俺の名前は「ロンネ」

 25歳男の人族だ。

 俺が今いるところ?

 そりゃぁ、海に決まってるだろ(?)

 人類が一桁なんだ。このバカ広い世界を旅しても同業者なんて会えるはずがないと思う。

 ポチャンッ

 ほら、海だってそうだって言っている。


 海を覗き込む。

 自分で言うのもアレだが、なかなかに秀麗な顔立ちをしていると思う。

 キレイな真っ黒な髪の毛の中にもみあげ部分の一束だけ黄色になっており、それがとてつも映えている。

 そんな髪の毛は後ろでまとめれるほど長く、というかまとめ、深い青色のリボンを巻いている。

 目の色はリボンと同じく深い、深海のような青色をしている。

 イケメンといえばツリ目な感じがするが、俺は真逆のパッチリとした丸目だ。

 鼻は少々高く、唇は薄いほうだ。


 顔だけ見ると女性と間違われてもしょうがないほどの美形だろ?

 実際間違われ、学生時代には何度か男子から告白をもらったことがある。

 もちろん全て断った。

「すまんが俺は男なんだ。申し訳ないが俺はBLになんぞ興味はない。諦めるんだな。」

 そう言って断ったなぁ…今のところの人生最大のモテ期だった…。

 いや。「今のところ」じゃない。あれで最後だったんだ。この世界で生きている人族に会って、更には会った人全員告白をされれば第2のモテ期なんだろうが。


 先程、顔〈だけ〉と言ったな。

 そう。女性なんだ。

 喋り方はぶっきらぼうな、男っぽい喋り方だし、声も特段高い方じゃない。世間一般的に「イケボ」と呼ばれる部類に入るらしい。

 俺が今着ている服…Tシャツ一枚を捲し上げると1,2年間趣味で鍛えていた腹筋が見える。

 このことを友人に言うと、「ギャップがすげぇ。」とのこと。

 そしてもう一つ、「新しい扉が開きそう…フヘ…///」とも言われた。


 長々と俺の容姿に話していたが、次の話題に移ろう。

 次の話題は…

「ズバリ!『今の現状』だ!!」

 久しぶりに声を出した。案外ガサガサになっていなかった。流石俺の喉。

 話が一瞬で脱線しちまったが、今の現状…はプロローグでわかっているだろうが、これは本当に重要なので何回でも言わせてもらう。


 人類総勢一桁になっている。


 俺は冷静沈着。何が合っても動じないとして有名だ。多分。

 もちろんこの知らせを聞いた時、俺は動じなかった。

 俺の頭の中では。

 動じないことができた。

 俺の心のなかでは。

 実際は…

「はっ!?人類一桁!?生きていけるわけないだろ!!頭イカれてんのか!?」

 頭がくるくるぱーとなり、俺の本能にキレる。

 傍から見ればかなり怪しいやつだ。

 …傍から見る人なんて居ないけど。


「どうすりゃいいんだよ…」

 流れで海に来たのはいいものの。

 魚を釣るための道具もない。

 そこら変の船でも漁りたいが、どこも貴重品は船の中にあり、施錠済みだ。

 俺の持ち物も海で使えるものは一つも持っていない。


 …あ。

 ここは魔法とスキルがあるんだぞ?なぜ忘れていた…。

 この世界に産まれてきたものは複数のスキルを持っている。

 無論。俺も固有スキルを持っている。

 俺が持っているスキルは


 想像力で道具を出せる「創る者つくるもの

 誰がどのステータスに特化しているのかがわかる「見分ける者」

 水を自在に操れる「操る者」

 自分が持っているスキルを通常の2倍にステータスを上げる「強き者」


 とまぁ、こんな感じだ。

 スキル4つ持ちは少なくはないが、俺の場合持っているスキルが強い。


 最初に「創る者」基本手ぶらでもなんでも出せるすごいスキルだ。

 チートだよな。これ。

 だけどこのスキルにも悪いところはある。

 1つ目、食料が出せない。これに関してはそこらへんの店や家を漁れば済むことなので、問題はない。

 2つ目、道具を出すにはかなりの体力が必要。これは道具を出す回数を間違わなければ倒れずに済む。

 最後3つ目。これが大問題だ。どこに道具ができたのかがわからない。

 普通は俺の手の中、もしくは俺の目の前に落ちるはずなんだろう。

 しかし、体力を使い、くたくたになったあと…眼の前に道具が落ちていない。

 絶望だよな。そんなの。


 次、「見分ける者」これは人族以外にも、ドワーフ、エルフ、魚人…など、生き物全てのステータスが分かる。

 これは常時発動型だ。

 一見するととてもいいスキルだ。相手の強さがわかる=変な喧嘩を吹っ掛けない。

 俺もこのスキルで何度か助かった。

 しかし、人類が大幅に減ったことで、あんまり意味がない。

「人類」とだけしか聞いていないから、他の種族はどこに居るかわからない。

 元々数の少ない種族だ。いつか会えるだろう。きっと。


 3つ目「操る者」

 操る者とだけ聞けばなんでも操れると思うが、俺の場合は水だけしか操れない。

 このスキルを上手く使えば、少ない水からも大量の飲水を発生させることができる。

 難しいが。人生の中で2,3回しかできなかったしな。


 4つ目「強き者」

 今まで紹介したスキルを通常の二倍の強さにする。

 強い。例えば「創る者」これは普通2回道具を出したら倒れるが、俺は4回出したら倒れる。「見分ける者」は相手のスキルが細かくわかる。通常「体力、攻撃力」しかわからないのが、「体力、攻撃力、防御力、MP」がわかる。

「操る者」これは最低800mLの水がないと操れないが、400mL操れる。

 雑魚スキルでも超つよつよにするこのスキルが確認されているスキルの中では今のところ最強だ。


 良いスキルに恵まれてるな…。

 人間、なにか目標を立てないとなにもできない。

 そして思いついた。3秒で思いついた最大の目標。

「寿命まで生きる!!」

 声に出して、大声で宣言した。

 俺の身体能力、スキル、魔法…あ、魔法の説明忘れてたァァァァ


 …てか誰に説明してるんだろ…?


 まぁいい。

 魔法は「日常魔法」「攻撃魔法」「特殊魔法」の3つに分かれる。


 日常魔法はその名の通り日常生活に使える魔法だ。電気やガスなどを詠唱なしで出すことができる。この魔法を使えば光源には困らない。


 攻撃魔法はこれまたその名の通りで、相手に攻撃することができる。炎や氷などを出して攻撃する。


 特殊魔法は自分にバフをつけたり、使い魔を召喚することができる。


 基本的に日常魔法しか使わないし、使い魔は心が壊れそうになったら召喚しようかな〜。

 流石に1人は寂しい。人は喋る相手が居ないと心が壊れる。つまり、病んでしまう。

 自分の心を制御しながら生きよう。


「寿命まで生きる」

 この目標は最終目標に頑張ろう。

 俺は決意して前を向き、どこに行こうか途方に暮れた。

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