第28話


 ヴァレッタ学園領(第15〜20街区)は、学園都市の西側にある。


 学園の大きさ自体は東京都市部より少し小さいくらいかな?


 学園の理事長(二代目理事長)はかつて史上最年少でノーベル化学賞を受賞した天才で、今でも国際的な活動の中心に身を置いている生物科学の第一人者だ。


 もうすぐ還暦を迎えるおばあちゃんだけど、学園全体の生徒が集う学期ごとの全校集会には、いつも元気な姿を見せていた。


 ま、“全校集会”って言ってもモニター越しに見てるだけだから、よくわかんないけどさ?


 直接会ったこともあんまないし、普段何してるのかもわからない。


 “世界的に有名な人”ってことくらいかな?


 周りが持つ印象としては。




 『第2学生会館』



 私が住んでる寮の名前。


 ビルの建ち並ぶ大通りを抜けて、私たち3人は「コペルニクス研究センター」の見える68番線の遊歩橋を渡った。


 都市部にはビルとビルをつなぐ通路がいくつかあり、各街区に通じる鉄道が、学園の周りを囲うように建設されている。


 街の中心部に立つ電波塔。


 空中を縫うように張り巡らされている高速線。


 ガラスで覆われた高層建築物が、入り組んだ街路の周りを覆い隠すように整列していた。


 歩道橋の下にある『パルム図書館』は、くじらの骨格をコンセプトに作られた大図書館だ。


 広い公園と、緑に囲まれた石畳のテラス。


 カフェが近くにあって、よくそこで皆と勉強会を開いてる。


 と言っても、真面目に勉強してるのはフレンくらいだ。


 アカネも私も、文字だらけの教材や資料を見るのは嫌いでさ?




 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る