第35話 早朝の"俺"と"私"のチャットメール





 「………………」




 俺、小柳隼人こやなぎはやとはその日、目が覚めた時に何か違和感に気づいた。




 「あれ………なんか……おかしくね?」




 それは………簡単なことだった。

 


 「何でお前がここに?」

 「んーーー………ん?」

 「ん?じゃなくて」



 俺が横たわるベッドの俺の隣で妹の桜が横たわっていた。



 「んーーー?別にいいじゃーん。眠いんだから寝させてよ」



 そして桜は寝返りをうつ。



 「妹との添い寝イベとかそんなの求めてねーんだよ!!!」

 「うるさいなぁ〜〜」



 そうして桜が起きる。



 「で?何でいんの?」

 「ベッドにinなだけに"inの"(笑)?」

 「ふざけてる?こっちは割と真面目に言ってるんだけど?」



 俺は桜の悪ノリにイラっとしながら話す。



 「まぁまぁ落ち着きなさいな。これには深ーい事情がある訳なんですよ」

 「何だよ事情って」

 「えーーと、なんか自分の寝室のエアコンが寒いなーと思って?そしたらなんか体が冷えてきて?それじゃあマズいなと思って?それでお兄とくっついて寝れば寒くないと思った訳」

 「何の理由にもなってなくて笑う」

 「なってんだろ!!つまりはお兄と添い寝すれば私の冷えた穴がある心の傷があったまるから!!」

 「もう話すのめんどいからさ、早く自分のベッドに戻ってくんね?まだ何時だと思ってんの?」

 



 そう、まだ午前3時前なんだ。




 「えーー?しょうがないな………。それじゃあ私を襲ってからこの場を去ってよ」

 「マジでキレるぞ?」

 「おー怖おー怖(笑)。分かったよ……それじゃあ元に戻る前に最後」

 「何だよ?」

 




 「おやすみのキス♡……オデコにして?」

 「死ね」






 と言う訳で俺は桜を自分の寝室から追い出し寝転がろうとした。




 「」



 そしてふと思う。



 「ヤバい……寝れない」

 


 何でかって?



 「……………」



 何だか急に柚葉が過ぎったからだ。

 柚葉はイタズラをする時も桜ほど大胆なことをしてきた場合は俺はどんな反応をするんだろうか……。そんなことを考えてしまっていた。




 『はーやと♡おいで♡』




 「うぐっ!!!」




 裸で俺のベッドに寝転がって俺を誘う柚葉が目に見えてしまう…////////




 あ、ヤバい……。

 ムラムラしてきたらもっと眠れなくなってきた……。どうしよう…。





ーーー




 私、小柳柚葉こやなぎゆずはは眠れないでいた。正確には目が覚めてしまっていた。昨日、疲れのあまりに午後7時くらいに寝落ちして今、3時に目が覚めてしまったって感じだ。



 「……………何しようかな………」



 目が覚めてしまったけど……やることがない………映画でも見ようか?そんなことを考えながら机前の椅子に座る。



 「思いつかない………」



 どうしようか散々迷ってたら……、



 「あ」



 一つ閃いた。



 「隼人に試しにライン送ってみよう」



 そう閃いた。

 え、何でかって?隼人も暇してそうだと思ったから!!

 私には分かる(気がする)。

 隼人は起きてる(気がする)。

 多分眠れてない(気がする)。




 そして……、




 [隼人、私目が覚めちゃった!だから6時までの間に何かあれば連絡してもいいですよ(笑)]




 こう、ラインを送る。

 ちょっと上から目線だったかな?私はそう考えながら質問する。



 

ーーー





 ジャーーーー!!!




 「ふーー……」



 俺は"一仕事"を終え、手洗い場から出てきた。この俺の言う"一仕事"は察してくれ。



 「さて……寝ようかな」



 俺はそう一人で呟くと自分の寝室に戻った……、





 が。




 [隼人、私目が覚めちゃった!だから6時までの間に何かあれば連絡してもいいですよ(笑)]




 と、柚葉からラインが来ていた。




 「マジか………どうしようか……」

 


 俺は悩んだ。嬉しいと言う気持ちはあるが……その反面、どう顔を合わせればいいか分からないでいた。だってたった今、柚葉で"やった"のにその張本人と会話って中々シビアだぞ?………いや待てよ?別に顔を見て会話をする訳じゃないんだ。じゃあ文字だけのメールのしあいだったら別に………。


 

 「よし」



 俺は腹を括って柚葉にメールをした。




ーーー




 「あ」



 [俺も桜のせいで起きちゃって寝付きが悪いからさ、話せるよ]



 そう隼人からメールが返ってきた。



 「よしよし!!」



 私は自然と嬉しくなっていたのか顔が綻んでいた。おかしいな……つい前に二人で遊んだばかりなのに……。



 そう考えながら私は隼人にメールを送る。



 [隼人も起きてるなんて奇跡だね(笑)。ダメ元でメール送っただけなのに]

 [そういうこともあるんだろ?柚葉は何で起きてるの?]

 [昨日、7時過ぎに気づいたら眠っててそのまま3時ごろまで爆睡だったから]

 [凄い健康的だな]

 [隼人は桜ちゃんに起こされたって送ってきたけど何されたの?]

 [俺のベッドに潜り込んでた]




 「ぷふっ(笑)」


 私は思わず吹き出す。

 添い寝って……(笑)。



 桜ちゃんも色々やるな……。



 

 [それはそれはとても仲の良いアピールができたんじゃん?]

 [お前笑ってるだろ?]

 [笑わない方がおかしいでしょ?]

 [お前………]

 [まぁ、本当に仲がいいんだって微笑ましいと思えたよ]

 [………そうかよ]




 [だから次は私としてみる?]




 私は軽いノリで送ってみた。




ーーー




 [だから次は私としてみる?]




 え?………何を?




 俺は一瞬何のことか分からなかった。

 ま、まさか……添い寝?



 [何をしてみるって?]



 俺は普通に返す。



 [何だと思う?]



 あ、コイツ……俺から言わせる気だな?なんてセコいんだ……!!!



 [何のことか分からんな]

 [えー?本当?それじゃあ私の口から言おうかな……]

 


 な、何だ?



 [私は]



 「」



 [隼人と]



 勿体ぶってんな……。



 [一緒に]



 早く言ってくれよ!!





 [ふざける♡]





 「」



 [あ。今、拍子抜けしたでしょ?]



 あー、しましたよ……。鋭いことで……。



 [そんな隼人が思ったようなことはしないよー?]



 コイツ…。



 [俺の思ったことって何だと思ったんだよ?]

 [さぁ?自分自身に聞いてみれば?]

 [……………]




ーーー




 私はとても楽しんでいた。




 「隼人をイジるって楽しーー♡」




 そう呟きながら笑う。




 「もっとイジっちゃおっと」


 私はいつものように意地悪く笑う。





 [柚葉は俺と何かしたいのか?]




 「ん?」



 なんか隼人からそのようなメールが来る。



 [俺と一緒に本当は何かしたいんじゃないのか(笑)?]



 隼人………、








 いじり返そうと必死だな。

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