第12話 休校


 次の日、学院に行くと校舎の入り口に休校の知らせが張り出してあった。


 補修作業、人員の補充、生徒のメンタルケア的な感じの内容。

 期間は三か月間だ。長い期間だが、校舎の修復作業もあるし仕方のない事なのだろう。

 いきなりお休みとされてしまった僕たちは、一度帰って話し合い、ハインフィードにて直接指揮を執ってこようという話に落ち着いた。

 そうして再び馬車に揺られながらの帰路に就き、暇な一時に思い思い言葉を交わす。


「ねぇ、私帰ったらダンジョンに行きたい!」 

「ん~、いいと思うんだけど僕らは行けないし、ちゃんとした護衛が居ないと心配だなぁ……」


 そう。この子は止める人間が居なければ何処までも行きそうなのだ。

 だからこそこの若さで強くなったのだろうが、それじゃ何時死んでもおかしくない。


「なぁにぃ? リヒトはそんなに私のことが心配?」

「エメリアぁ? その甘え方は許しませんよ!」

「いいじゃない、ちょっとくらい……お姉様のケチ」


 そうして互いに口を尖らせながら始まった可愛らしい姉妹喧嘩だが、話題が話題だけに飛び火しないうちに止めておこうと声を掛ける。


「騎士団長と相談して兵士を付けられないか聞いてみようか?」

「いいわよ。流石に新兵育てながらなのに私の護衛まで引っ張って来ちゃ可哀そうだわ」

「お前……領軍、というか騎士団には優しいんだな……ちょっと感動した」


 良い子に育ってきたね、とリーエルと両親ムーブをかまして遊んでいたら「馬鹿にしてんの?」と直ぐに不機嫌になってしまったので仕方が無いと話を戻す。


 ダンジョンはどうする、と。


「わかったわ……ちゃんと約束する。一つ一つ慎重にやるって。だから、信じて?」

「リーエルお母さん、どうしようか?」

「やだもう、あなたったら私にばっかりぃ♪」


 先ほどの夫婦ごっこが楽しかったのでつい口に出すとリーエルまで乗ってしまいエメリアーナが僕にキレかけるが、その前にリーエルが自制し姿勢を正した。


「ゴホン……ではなくて、約束することはそれだけじゃダメよ。

 絶対に何があっても生きて帰ってくるって誓って頂戴」


 姉の心からの心配にエメリアーナは気を良くしたみたいだが「そんなの当然よ!」と逆に不安になる様なドヤ顔を向けられたリーエルは困り顔で妹を見据える。

 その瞳に耐えられなくなった様で、視線を逸らし話題を変えるエメリアーナ。


「それで……その間はお姉様たちはどうしてるの?」

「私は領地の仕事が溜まってる筈ですから……ライアンに政務はできませんし」

「いや、そこはうちの者が手をつけてくれているよ。

 確認事項や領主の採択が必要な事は残ってるだろうけど」


 そう。皆わかってるのだ。彼には無理だと。

 だからこそ二人に任せるとカールとライアン騎士団長に任せて来たのだ。

 カールなら恐らくは家令の教育もしながら片手間で熟してくれているだろう。あの人ほんと優秀だから。うちは嫡子に恵まれなかったけど人材には恵まれているのだ。

 その中でもカールは次期家令として筆頭の優秀さを見せる男。

 嫁さんも綺麗で優秀な子にも恵まれ色々と盤石な圧倒的勝ち組と言える男である。


 いや、いずれ兄上が治めるあの家を出れてリーエルと一緒になれる僕の方が勝ち組みか?


 エメリアーナの暴走は厄介だけど、操り方もわかってきた。

 使い方さえ間違わなければだが、強さを鑑みればいい人材とも言える。

 そこに優しく有能で働き者のリーエルが合わさればハインフィードで楽しくやっていけることはもう間違いないだろう。

 最初はどうなることかと思っていたけど、悪くないよね……


 ふふふ、と心の中で独り言ちる。


 最近漸く僕らも普通のデブの領域に足を踏み入れ始めたしとても順風満帆である。


「でも、仕事が無いとなると、何を致しましょうか……」

「お金は入ったんだし、領地の発展に寄与する仕事をすればいいんじゃない?」


 というかハインフィードはそれを怠り過ぎだからやらないとダメだ。

 領地全体で見れば潤っている筈なのに発展が止まってしまっているほどに。

 何処かが牛耳って個人に巡る筈の金をプールしているのだろう。

 衛兵や役場や使用人などは一般的。兵士は明らかに少ない。その上であれだけ財政が緊縮状態にあったのだから、横領の他に脱税もされている事だろう。

 それは調査を終えて審議に諮らないと動けない。

 ため込んでいる所が正当な経営の場合であったら文句は付けられない。なので後回しだ。

 時間は掛るが定番のインフラ補強から手を付けられればと思っている。


「と、申されましても……何をすれば良いのでしょう」


 ありきたりだけどね、と前置きをして「ズバリ、道だ!」と注目する二人に告げる。


「道ねぇ……人を雇って舗装でもするの?」


 と、珍しくエメリアーナが真っ当な答えを出した。


「そう。ぴったり正解! 町中と町を繋ぐ道の舗装。簡単でしょ」


 グランデでも十数年ほど前から手掛けていて、人の出入りが増えた事などからも実を結んでいるのは明らかだ。成功例をなぞることで続く政策の足掛かりにしておきたい。


「確かに領民の生活の快適度は上がるでしょうが、もっと直結するものじゃなくていいのですか?」


 そんな二人に説明する。

 人を呼ぶのに交通の便が如何に重要かを。


 道が整備されてない領地は、移動時の揺れが本当にきついのである。

 それが楽になるだけで商人たちも大喜びで来るようになるだろう。


 特にハインフィードは魔物素材が高価だから見込みは大きい。

 そう。一個単位の大きさや重量の割合と輸送コストは比例する。

 安くて重くて大きい物などとなれば一個当たりの原価の上がり方が大きくなりすぎて、旨みが無くなる。

 その反対である高価で一度に大量に運べるなら、その分遠くまで運んでも利が出しやすいので売れる場所が増えるのだ。


 そうして買い取り先が増えれば、沢山売れるので軍で育成した新人たちにもダンジョンで稼ぎを上げさせられる。そうなれば待遇も上げてやれるので人も集まり易い。


 恐らくは舗装作業中も割と景気上昇に貢献するだろう。


 それほどに大掛かりな道の舗装をするとなると大口の雇用が生まれる。

 商人に領主が良い条件で募集しているという噂を流して貰えば人も集まってくるだろう。

 人が集まれば商売も繁盛する。行き来が楽で早くなれば物の出入りも活発になる。働き口が増えれば定住する人も増える。その全てにおいて税収が増える。

 町の人が景気が良くなったのを体感すれば領主の評価も上がる。

 莫大な金が掛かるが、半永久的な収入の増加に繋がるのだ、と説明をする。


「流石に全部が上手くはいかないだろうけど、道を整えるってのは結構有効な手段だよ。

 道、娯楽、治安、働き口。そこら辺を領主側が手伝っていけば多分いい速度で発展していくんじゃないかな」

「治安ねぇ……そう言えば衛兵はどうだったの?」


 と、エメリアーナは家令事件の時の繋がっているかもしれないという話を思い出したらしくそう尋ねてきた。


「うん。多分黒も居た。今回は裁けなかったけど」

「はぁ? なんでよ!?」

「多分だからですよ。きっとそうで犯罪者にする訳にはいかないでしょ?」

「ああ、それはそうね……」


 そう。恐らく何かやっているという金回りを見せていたが、家令の件の調査から後始末まで色々と仕事があり手が回らなかった。衛兵よりも次の御用商会の選定が急務だったのだ。


 衛兵は横領していた家令の事件には関わっていなかったらしく別件らしい。

 とはいえ治安も重要だ。出来るだけでいいから内部調査を頼むとお願いしてある。


「ねぇ、町が発展するとどんなメリットがあるの。私に」


 お前にかよ!

 だがいいだろう。教えてやる。


「先ずは王都にあったようなちゃんとしているおしゃれなカフェができる!」

「「すごいっ!」」

「呉服店もちゃんと有名デザイナーが呼ばれている様な店ができる」

「わぁぁ」

「鍛冶師も……それはもう居たわ」

「何よ! 鍛冶師のもっと凄いのは来ないの!?」


 エメリアーナはそう言うが、この前装備を頼んだ鍛冶師の経歴を調べたところ元お城のお抱え職人の一人だったり、軍のお抱えだったりと色々な権力者の元で武器を作ってきた人だった。

 まだ一点物の名刀などは世に出していないが、中々に高性能な武具を量産することに長けた職人だそうだ。


 やはりいつの世も騒がれるのは一点物の超高性能武具。だが、それを任されるのにも知名度がいる。運が悪ければ持っていかれ続けるのだ。

 それ故に知名度が高くならず転々とする羽目になったそうだが、腕は優秀なのだそうだ。

 この前出した依頼も、即答で受けてくれて今制作中の筈である。


 そうした話で盛り上がっていると悶々とやりたい事が出てきて思ったままに口走る。


「もっと安定したらだけど、学校とか研究所も作りたい。

 闘技場とかもあったらいいよね。後は大きな銭湯とかもあったらいいと思わない?

 もし研究所で世界的に売れそうな技術とか開発したらがっぽがっぽだよ。

 そうなれば気兼ねなく兵も一杯雇って、使用人も増やして家令や執事に仕事をやらせて、領主がやらなきゃいけない仕事だけ済ませてさ、旅行でも計画しながらゆっくり家族で団らんしていられる訳だ」


 まあ、今のハインフィード家はその真逆の状態だけど。

 本当なら領主はパーティーに出たり、夫人は主催するお茶会があったりと結構自由にやっているのだ。

 いやそれも仕事なのだけど、そのくらいの時間は普通に取れるのである。


「そ、それは確かに魅力的すぎます……それなら私たちも含めて皆幸せになれそうですね」


 そう。僕の目標はそこをある程度突き詰めたところ。

 貴族が直接商売をすると侮られる恐れがあるので誰かに商会を立ち上げさせる必要があるが、僕が手勢を作ってその中から代表を選び立ち上げれば何の問題も無い。


 それらを成功させて領地に大きく貢献すればもう誰も文句は言えない。

 必須の仕事をこなすだけである程度は好きな事をして居られる筈だ。


 その為には今を頑張らないとならない訳だが。

 そうして話が一段落すると、重要な事を思い出して声を上げた。


「あぁ……それだけじゃないんだった。僕はもっともっと強くならなきゃいけない」


 そう。この前の襲撃で僕はまだまだ強さが足りない事を思い知らされたのだ。


 そう思っての言葉だったのだが「はぁ!?」と、半ギレな顔でこちらを見るエメリアーナに「もっと、ですか?」と驚きを見せているリーエル。


「あのねぇ……多分最大強化した時の強さを基準にしているんだろうけど、あれは本当に直ぐに魔力が無くなるんだ。継戦能力が問われるスタンピードや戦争では使えないよ?」


 そう。平均の百倍近くはあるであろう魔力馬鹿の僕ですら数分で魔力が半分以上持っていかれるほどだ。

 術式が複雑すぎて瞬時の起動も不可能に近いから戦闘中にオンオフするのは現実的じゃない。

 リーエルなら一応使えはするだろうが、強者と一対一とかじゃない限り使える状況は少ない。

 長年の討伐で魔力が上がっているエメリアーナでも恐らくは秒単位で魔力切れを起こすだろう。


 そう伝えても「それでもずるいわ……教えなさいよ」と、憤りを見せるエメリアーナ。


「いいけど、回復魔法と同様に絶対に他者に教えてはいけないものだから、忘れないでね。

 それと魔導文字を百三十文字ちかく並べながらの戦闘になる。大変だからその覚悟もしてね」


 普通なら絶対に教えないところだが、リーエルと一緒になる以上エメリアーナが敵に回る事は無いだろうし、彼女はハインフィードに残りたいと言っている。


 であれば力を付けてくれるのは好都合。

 それ以前に死んでほしくないしな。まあ多少仕返しはしてやりたいけど……


 ああ、でもそうなると戦術ではなく戦略的視点も持って貰わないとダメか。


 そう思いつつもやるなら教えても構わないと返したのだが、彼女は難易度の高さに愕然とした様を見せていた。


「そ……そんなのできる訳ないじゃない!

 なんでそんなの維持できるの!? 信じらんない……」


「大変だけど一つ一つ頑張ればできるもんだよ」なんて返しつつリーエルに「ねっ?」と同意を促せば彼女も自信を持って「はいっ!」と答えた。


「えっ……お姉様も、できるの?」

「ううん、同じように使うのはまだまだ無理よ。あの状態で回復魔法無しに本気で動いたら体が壊れてしまうの。あと六十文字は同時に制御させられないと……」

「この短期間でだし十分凄いよ。攻撃魔法の種類も増やしたでしょ」


 ぐぬぬ、と焦った様子を見せるエメリアーナ。学院襲撃時の僕の無茶な強化魔法を思い出して当てられたのだろう。

 僕的にもあの時初めて本気で力を入れたくらいに何も検証していなかった魔法。いくら回復しながらと言っても強い痛みが走るほど無理やりな強化をする魔法だ。

 確かにとても有用だが、数分しか持たなかったのでは使える場所は本当に少ない。

 それでもあの危機をひっくり返せたのだからエメリアーナにとっては羨む力だろう。


「正直、キミなら二段階目までで十分だと思うよ。魔力配分も必要無いし」


 そう。魔力配分をするには戦況分析がかなり重要となる。

 その分析が苦手なエメリアーナは下手に覚えてしまうと重要な時に魔力を使い切るという不安がある。

 強化を使った後に魔力回復に努められる時間が確保できるのか否かと、その場での危険度を鑑みて使うかどうかを判別できなければ逆に危険になる時も出てくるだろう。

 強化度合いは三種類の中で一番劣るが、消費効率は最高と言える二段階目で止める方が安全な気がする。


「二段階目って何よ……」

「あっ、そっか。痩せるのが目的だったからリーエルにしか言ってなかったっけ……

 あの魔法は三種類の強化魔法と回復魔法の混合で、二段階目なら全部で三十文字程度で済む。

 エメリアーナも一段階目は覚えているし二十文字程度だね」


 まあ三段階目が段違いに強化率が高いのだが、それでもかなり強くなれるだろう。

 ダンジョンも彼女には緩い所の護衛だったので必要性を感じず話題にも上がらなかったが、今回の事で僕たちはもっと力を得る必要がある事に気が付いた。

 だからこそ今後、ハインフィードの懐刀になり得るエメリアーナには二段階目までは逆に覚えて欲しいくらいだ。


 エメリアーナはその言葉を聞いて目を輝かせる。


「そ、それでいいわ! 早く!」


 こうしたキラキラした目ですり寄ってくる様は可愛いんだけどな。

 素直に可愛いと思ってやれないのは本当に残念だ。

 まあ妹とはこんなものだと聞くし、ドキドキさせられても困るか……


 と思いつつも「はいはい」と二段階目の強化に必要な魔導文字を彼女の前に並べる。


「け、消すんじゃないわよ!?」

「いや、消さないけど、流石にずっとは嫌だよ?」


「うふふ。ではこれを見せてあげましょう!」と、リーエルがドヤ顔で僕の研究ノートを取り出す。

 確かにそれがあるなら必要無いな、と文字を消してリーエルに先生になって貰った。

 それからの帰路は延々とエメリアーナへの講師に二人で就くことになったが、暇な時間を潰すには丁度良い塩梅だった。





 そうして数日の行程を終え、何事も無くハインフィードへと戻ってきた。


 先ずは家内の状況把握だと三人でカールから色々と話を聞く。

 色々と万事恙無く進めてくれていた様で、仕事は簡単な確認項目しか残っていない様子。

 当然、判断を下した仕事の説明は受けたのだが、本当に聞いているだけだ。


 常識的に、法的に、そうするしかないよね、と思うことばかりである。


 だが、それをリーエルに聞いて貰うことこそが重要だ。

 今後の判断の基準にもなれば、領主として何があったのかを把握しておくべきである。

 それを理解しているリーエルは所々で質問を入れ、判断の理由を聞いてメモを取っていた。

 元々仕事をしていた彼女にとって殆ど知っている事だっただろうが、気付きもあったのだろう。真剣にメモを取りながらも時折安心したような顔も見せていた。


 そんな報告会の最中、とうとう衛兵の上層部が尻尾を出したという報告を受けた。


「どうやら、衛兵の上層部と一般兵の一部が納められた税の着服をしている様です」と、カールは言う。


 流石にこればかりは領主の採択を仰ぐ必要があり、纏めてから手紙を送ろうと準備していたところだそうだ。

 どのような手口の犯行だったかを尋ねると関税、つまりは物の出入り時に取る金の一部を記録も取らずにそのまま着服していたそうだ。

 持ち回りで一班三十人程度の衛兵が行う門番。門番はただ不審者を取り締まるだけではない。町に三つある出入り口で物資の出入りも常に監視し徴税もしている兵士だ。その一チームが担当した時の徴収額が異様に少ない事に気が付き、実際に出入りして調べたところ間違いないという結果に至った。


「まあその一班だけ、というのが救いだな……早期の立て直しにまだ希望が見える」

「はい。ですが、それ以外も甘くは見れませんでした。

 衛兵としての規律は乱れ切っているとしか言いようが無く……」


 少し気まずそうに話すカール。

 だが、それを明るみに出してくれる事こそが重要なのだと感謝を告げる。


「いや、芳しくないことこそ蓋をしてはならないからな。

 本当によく調べてくれた。調査に当たったものたちには褒美を取らせてくれ」


 そう言って懐からお金を出すが、リーエルに止められた。


「いけません。当然、ハインフィード家が恩賞を出しますわ。

 領地の為に自費を出すのはおやめくださいまし。それはリヒト様のお金です」


 と、脂肪が落ちてきて丸くなってきた瞳をじっとこちらに向けるリーエル。


「ああ、そうだね。じゃあこれからは調査が必要かもしれないと疑念が出た時に全て伝えるよ。

 他所様の家に世話になっているのに、全てにおいて疑ってかかっているとは思われたくなくて黙っていたんだ」


 ごめんね、とリーエルに伝えると手を握られ彼女はゆっくりと首を横に振る。


「いいえ。常々、陰から助けてくれていたことは感じておりました。

 ですが、その所為でリヒト様に自費を削らせては自分が許せないというだけです」


 そうして僕の手に手を乗せてくるリーエル。

 そうして柔らかい空気になったところでバチンと音と共に背中に痛みが走る。


「全く、詰まんない遠慮してんじゃないの! 胸を張りなさいよ!

 実際これだけ悪事が出てきてんだから正当な調査でしょうが!」


 いや、だからさ……叩くなってば。


 そう返しながらも、褒美の相場についての説明をカールにお願いして授業が始まる。

 と言っても本当に家々で全然違う様で、功績を上げても一切出さない家も結構あるらしい。

 基本は月に貰っているお給料の半額から三倍程度までが殆どだが、そこは領主の気分次第。


 ただ、お国からも褒め称えられる様な場合は問答無用でそれに応じた高額報酬を出す。出さないと貴族からは嘲笑を受け、領民からの信頼も地に落ちる可能性がある。

 カールの話には僕が教わっていない嫡子教育の部分もあり、その説明はとても興味深く為になる時間となった。



 そうした授業が終わり「じゃあ、次は衛兵内の改革だね」と〆てリーエルと二人頷き合い気合を入れた。



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