高度に発達した占いは、現実改変と区別がつかない。

 50年前からダンジョンが出現し、人々がスキルを持って生まれるようになった世界。スキルを持たず無能扱いされていた男子高校生の田沼はモテる手段として占いを選んだ。

 占いといっても具体的に道具を使ったり手相を見たりするわけではない。誰にでも当てはまりそうなことをそれっぽく言うだけである。

 しかし、この田沼の占いが異常に当たる。クラスのギャルの早坂さんに「良いことが起こる」と言えば、行方不明になっていたペット(ケルベロス)が帰ってきて、その早坂さんがダンジョン探索の配信を始めると言うので「良いモノを見つけて盛り上がる」と言えば、見事超絶レアな鉱石が発見されて配信は大成功。

 適当に占ったはずが予言レベルでどんどん的中し、いつの間にか人気者になっていることに途惑う田沼の姿が大変面白い。そしてこの状況を面白く思わないクラスメートが田沼に絡んでくるのだが、彼に対して田沼はとんでもない形で占いの力を使ってしまう!

 絶対的中する占いというシンプルながら応用性が非常に高い能力と現代ダンジョンの組み合わせが楽しい一作だ。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)