とある物語の一幕
@ChihaG
ちょっと狂気? 家族になれなかった姉と拒絶された妹
*
姉一家は離婚、妹一家は事故で死別
再婚したあと妹家で同棲
妹にとって形見のようなものだった父の部屋は学校へ行っている間に片付けられておりそれ以来妹は滅多に家へ帰らなくなった
妹が家にたまたま帰ったところに遭遇した姉との一幕
*
「最近帰ってくるのが遅いんじゃない?まだ高校生なんだからもっと早く帰ってきなさい」
「なんで?」
「なんでって、危ないからに決まってるでしょ」
「大丈夫だよ、ちゃんと友達と一緒にいるし、1人で出歩いてるわけじゃないから」
「そういことじゃない」
「じゃあどういうこと?危なくないからいいじゃん。むしろ私がいない方が都合がいいでしょ」
「都合がいい?」
「私がいなきゃ姉さんは集中ができる、(義父)さんは私を視界に入れなくて済む、母は、、、元から私に興味無いし」
「何を言って、、、」
「いや、(義父)さんともっと仲良くできるから十分か!見た感じ仲は深まってるみたいだから近々姉さんにちゃんとした弟か妹ができるかもね!ほら、ぱっと考えただけでみんなにメリットがある。都合がいいでしょ」
言葉が出なかった。
笑顔で言うことではない言葉を笑顔で言い続ける姿に困惑した。
「お父さんの部屋が無くなった今、家に未練はないからね。姉さんも私のだった部屋、好きに使っていいから。あ、でも散らかってるか。まぁ全部捨ててもらっても全然いいからね!」
「そんなこと出来るわけないでしょう?!」
わからない
「えぇ〜、でももう使わないしー」
「使わないって、どういうことよ。どこで寝るつもりよ。着替えだってどうするの」
「寝るのはどこでも寝られるし、着替えなんて3セットもあれば回せるよ。バイトしてるから洗濯はコインランドリーで済ませられるし、ありがたいことに学校でシャワーも浴びられるしね。毎日は無理だけど」
「どうしてそこまで、、、」
わからない
「むしろこっちが聞きたいよ。どうしてそこまでくってかかるの?」
「そんなの当然でしょ!姉として、、、」
「でも、血は繋がってないじゃん。赤の他人にどうしてそこまでするの」
「赤の他人って、家族でしょう?!」
「戸籍上はね。でもそれだけ」
「それだけって、あなたね!」
「それだけじゃん。そもそも家族と認めなかったのはそっちじゃん」
「そんなことは」
「そんなことはないって?私は歩み寄る努力をしたつもりだった。認めて貰えるよう勉強も頑張った、家事も手伝った、交流を深めようともした、でもどれも誰も受け入れてはくれなかった。まぁ大方母に疫病神とでも言われてたのかにゃ。しかもギリギリになって」
「ッ」
「にゃはは、その反応は図星っぽいね」
その通りだ。(母親)さんからは顔合わせの直前に娘がいると聞かされ、そして疫病神だと聞かされた。アレのせいで夫が死んで不幸になったと。
「(義父)さんと姉さんは母を家族と認めているし、母も2人を家族とし認めている。でもそこに私はいない。そうでしょ?」
体から力が抜けていく
「あはは、何でそっちが傷ついたような顔してるの。傷ついてるのはどちらかと言うと私の方じゃない?」
「、、、」
「ま、私は別に傷ついてる訳じゃないけど。それに姉さんだけだったよ、もしからしたら家族と認めてくれるかもしれないって思わせてくれた人は」
くれたひと
「でも最初から突き放すのならつもりなら期待なんてさせて欲しくはなかったなぁ。すっごい辛かったもん。でもおかげで完全に吹っ切れたし、そう考えれば有難かったのかな。うん、そうだろうね。ありがとうきっかけをくれて、(姉)さん」
名前呼び
「あ、やっと何が聞きたいのかわかったよ!私が家に迷惑をかけないか心配なんでしょ?安心して、家に迷惑はかけないから!」
満面の笑みでそう答えられた
その時、私が何をしてきたか、いや、何もしていかなかったかがわかった。
もうこの子は滅多に家には近寄らない。そう悟った。
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