第27話 トラウマ
沙織さんがなんか切なそうな顔で家に来ないかと誘ってくる……
うーん、これ誘ってね?いや家には誘われてるけどそういう意味ではなくて、エロい意味で誘ってね?
今俺には彼女居ないし?沙織さん可愛いし話も合うし?普通ならありがとうございます。なんだけど、あんた彼氏いんじゃん!
この俺に対して浮気を持ち掛けるか?それは虎党に対してオレンジ色を勧めるようなもんだぞ?
「なに言ってんだ」
「あれ、聞こえなかったかな?もうちょっとお話したいからウチに寄ってかない?って言ったんだけどな……」
「いや、遠慮する。今の話は聞かなかったって事にしとくよ」
「ありゃ、もしかして変に勘違いさせちゃった?もちろんお母さんが家に居るよ?」
「だとしても、今日は遠慮しとく」
「そっか……残念、じゃあまたの機会にね?」
「……………………じゃあ、また明日」
どうも考え過ぎだったみたいだけど、なにか急速に楽しかった気分が落ちていくのを感じる。
沙織さんを送り届けて家に帰りながら今のことを考えてみる。
どうも自意識過剰だった……というか自意識というのか、浮気とかそれに絡んだ性的なものを感じさせるフレーズやシチュエーションに反応してしまう。PTSDと言ったら大袈裟かもしれないけどトラウマにはなってるみたいだな……
「しかし、どうするかなぁ。こっちの事情とか知らない人にあんな態度とっちまって、ちょっと悪いことしちゃったな……沙織さん気を悪くしてなければ良いけど……」
沙織さんは純粋に楽しく思ってくれたから引き留めてくれたのに、俺が相手からしたら意味不明なキレ方をしてプンスコしてお家帰る〜ってしたんだもんな。
明日にでも謝っておくか……しかし許してくれるかな?
「あー気が重いわー、どうやって謝ったらいいんだよ!事情を話すわけにもいかないしなぁ。……仕方ない」
おもむろにスマホを取り出してメッセージを入力する、
『助けていよえもん!』
『どうしたんだい?羅怜央くん』
『実は、今日沙織さんとファミレス行ったんだけど』
『え?ちょっと待って?なにそのサプライズ?ラーくんとりあえず通話にして良い?』
『なんで?』
『いいから通話にするよ!』
いよえもんのゴリ押しで通話することになった。別に相談に乗ってくれるならどっちでも良いけど……
「ラーくんまずどういう事か聞かせてもらっていいかなぁ?沙織ちゃんとファミレス行った?どういう理由で?仁くんはそこに居たの?居たのならなんであたしを呼んでくれないのかな?」
「おおう、沙織さんとファミレスには行ったよ?理由は言えないけどな……あと仁は居なかった、それと仁を呼べなかったのと同じ理由でお前も呼べなかった」
抜き打ちテスト作ってたとか今言えるかよ!言ったら抜き打ちじゃなくなるだろがい!
「納得いかないけど、まあ後ろ暗いことがあったらあたしに言わないよね?それで、あたしにどうしてほしいのかなぁ?」
「実は───────
───────────というわけで、かなり気の悪い事をしちゃったわけだ……」
「ラーくん、バカ?」
「うぐっ」
「っていうのはまあ言い過ぎかな〜、りっちゃんたちのやらかしが原因だもんねぇ、ラーくんのせいではないんだし。てかラーくんが言うようにトラウマになってるんじゃないかな?」
やっぱりいよなもそう思うか、
「しかたないなぁ〜沙織ちゃんにはあたしからも言っておくよぉ、事情は多分今度りっちゃんに会うときにバレちゃうと思うし〜。ラーくんはちゃんと謝ること!」
「御意」
「それで、なんで沙織ちゃんと2人で会ってたのかなぁ?怒んないから言ってごらん?」
「言わねーよ!まあ後ろ暗いことはしてねーから安心しろ」
しつこい奴だな……こいつなりに感じるものがあるのか?危険予測的な?
「なんか気になるんだよねぇ?危険が危ない的な?」
やっぱり危険を察知してやがるな……その勘の良さ昔から面倒くさいな。何とかごまかして注意をそらそう。そらそうよ。
「気のせいだろうさ……「勉強会、なんか企んでるでしょう?」……何のことだ?」
ちっ、何か気付いてやがるな、すまん沙織さんバレるかも。
「……まあいいや。ある程度想像つくしぃ?あたしたちのために頑張ってくれてるみたいだし、ここは詮索しないでおくよぉ」
おお!いよなが情を見せてくれた……この恩に報いるためにもしっかりきっかりと勉強をさせてやる。
前回ヤバかったから今回は本気でやらせないと三学期だけでは取り返せなくなるかもしれないしな。
「なんかとんでもない事考えてそうだけどぉ、とりあえず帰っておいで〜。今日はラーくんはウチで晩ごはんだよ〜、ママが今日はお鍋だってぇ」
「おー!おばさんのつみれ好きなんだよなぁ。マッハで帰るわ。じゃあ切るぞ?」
「はいはい、早く帰っておいでねぇ」
いよなに相談も出来たし、なんとかしてくれるだろう。ヒュー!いよな
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