Help~七英竜が集うとき~
のらにのい
1-1日常は突然変わる
「おーい待ってよ」
林の中僕は女の子を追いかけていた。
「ねぇ、早く早く」少女は振り向きながら僕に話しかけてきた。
「どこに行くんだよ」
「秘密」僕と少女との距離はだんだん近くなった。
やっと追いついた時、どこからか夕焼け小焼けのメロディーが聞こえてきた。
僕はその音に振り向きすぐに少女の方に振り向いたらそこには少女がいなくなっていた。
そして僕は夕焼け小焼けのメロディーが流れ続けるだけであった。
いつもそこで目が覚める...
昔から何回も同じ夢を見る。そして同じように目が覚める。それが本当にあったことか夢の話なのか今の俺にはわからない...
休みであったが目が覚めてしまった俺はリビングに降りた。
「次のニュースです。本年の行方不明者数が過去最多になったと発表がありました。」リビングにはテレビでニュースを見ている両親がいた。
「あら、タツ休みなのに早いじゃないの。やだ今日雨でも降ったら困るわ」
「別にいいだろう。たまには早く起きたって」
「私としては早く起きてくれた方が朝ごはん別で作るの面倒なんだから」
「わかったよ母さん」
「じゃあ明日も頼むわよ」
そいいいながら母さんは俺の朝食を準備してくれた。
俺は、朝食を食べ終わると両親とは一緒に居たくないという思いだけで出かけることにした。
「タツ出かけるなら帰りに牛乳買ってきて」出かける俺に対して母さんがお使いを頼んできた。
「いいけども先にお金くれよ」
「立て替えといて」
「今、金足りるかわからないけども」そういっていると父さんが財布から1000円札を取り出した。
「おつりはお前が取って置け。いつものやつも頼むな」
「父さん、チョコばっかりだと健康診断に引っかかるぞ」そういいながら俺は父さんからお金を受け取った。
「そんなこと言うと釣り返してもらうぞ」父さんは冗談交じりであったがそう答えた。
「そんじゃ行ってくる」
こうして俺はお使いがてらふらふら出かけることにした。
どこに行くかも何も決めずにとりあえずは町に向かうため自転車に乗った。
自転車で走り出しのらりくらりとどこに行こうか考えていた目先に本屋が見つかったため立ち寄った。
なんとなく漫画コーナーに向かってみた。すると
「タツ、お前も買いに来たんか」そこにはクラスメイトが数冊の漫画を持っていた。
「いや、最近どんなものあるかなって」
「そうだな...だったらこれがいいんじゃない」そういうと持っていた本の中から1冊の本を差し出して来た。
「どんなの?」
「そうだな...世界を救った主人公が再び世界のために戦うって物語かな」
「それ世界救ってないんじゃない」
「いやぁ別の敵だから」
「何があっても世界は救われないってことかな」
「なあ、タツ漫画だからそんなこというなよ」
「確かにそうだな」
「じゃ、俺はこれで」
「じゃあまた」そういってクラスメイトと別れた。
「あら、お昼なのにタツ遅いわね」
「俺が渡した金で昼たべてくるんじゃないのか」
「なら電話で確かめて見るわ」そういい息子に通話を始めた。
しかし電話からは「おかけになった電話をお呼びしましたが、電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません。」としか流れなかった。
「電話にでないわ...」
「まあ、充電でも切れたのかもな。そのうち帰ってくるだろう」そういい両親は問題ないだろうと思ったまま昼食にしたのだった。
夜になっても息子であるタツと連絡を取ることが出来なかった。
慌てた両親は警察に行方不明者届を出し学校にも連絡が行き捜索をされた。クラスメイトからは本屋であったという情報があり防犯カメラなどである程度足取りをたどることが出来たがある場所からわからなくなってしまった。その場所にはタツの自転車が置かれていた。両親は何故自転車が神社の所にあったのかわからなかった。
「どうして...」母親は突然息子が失踪したことによりパニック状況に入ってしまい誰の言葉も理解できない状態になってしまった。父親の方は平常心とまでは行かなかったがまだ話ができる状態であった。
「創作の方はどうですか」父親は警察に質問していた。
「今のところは事故はないので失踪したかもしくは誘拐の線を考えています。もし何か自宅に連絡があったら教えてください」
「まって誘拐って本当なの。ねぇあんた教えなさいよ」
「落ち着け明子。落ち着け」警察に泣きながら問いただそうとする妻をなだめていた。
「どうして...どうしてこうなってしまったの」そこには息子を失い泣きわめくことしか出来なかった母親の声しかなかった。
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