44話 悪徳商人のせいでチャンネルBANの危機
「これが拙者の超高速お盆隠しでござる! ほれほれ! 動きが早すぎて、肝心なとこは見えぬでござるぞ!」
アキナが帰ってくるまでの場を繋ぐため、全裸になったコウスケは両手にお盆を持ち、アキラ100%の様な局部が見えない裸踊りを披露していた。
「ふざけんな!」
「私たちは、なつめさんを見に来たんだ!」
「そうだ! 汚ねえもん見せるな!」
「うるさい! あんなおばはんの魔法より拙者の芸術的な舞を見るでござる!」
「引っ込めクソ商人!」
「早くなつめさんを連れてきて!」
遂にコウスケに向かって、ゴミが投げられ始めた。
(ク、クソ……俺はどうすりゃいいんだ!?)
沢山のバッシングを浴びるコウスケを、最初のウチはジンも胸がすく思いをして楽しみながら眺めていた。
しかし、しばらくして、後から間違いなく八つ当たりをされる。
このクレーム処理をさせられるのも自分だ。
それを考えながら、青い肌をさらに真っ青にして裸踊りを眺めていた。
「ちょっとジン君……」
オフ会の様子をLIVE配信していたレナが話しかけてきた。内容は想像できる。
CoolDragon123:なんだこれは…なつめさんはどこ!?
KawaiiMiko:誰も商人の裸なんて誰も見たくないよ~😭 早くなつめさんを!
RamenLover88:チケット取れなかったけど見たいから仕事や休んだんだ!こんなの見せるな
NekoNyanNya:こんなの配信しないでください……誰得なんだこれ。
「コメ欄こんな感じになってんだけど。ってかYawtubeポリシーにも違反しそうだから止めにいってくんない!?」
(マジかよ……ちくしょう)
泣きながら止めに行こうとした時、参加者の投げた空き缶がコウスケの頭部を直撃する。
コウスケは踊りを止めて動きを止めた。
(ひいいい! さっきのでぜってえブチギレた。タイミング悪すぎだろ! 勘弁してくれええ)
『ジン、気づいているか?』
予想に反して冷静な声色で話しかけてきた。どうやら缶があたってブチぎれたのでは、ないようだ。
(気づいている?)
コウスケは遠く上の方を見ている。
『う、嘘だろ……』
見ているであろうものを確認したジンは、驚きのあまり言葉をつまらせた。
◇
「グハハハッやはりお前達も俺と同じことを考えてくれていたか!」
意外な者達からの提案にアンズィールは、歓喜していた。
「ああ。【生態系の迷宮】を本来あるべき迷宮の姿に戻したいと考えているのは、何もお前だけではない」
「なんでか知んねえが、人間の中でも特に弱え奴らが、いま大量に来てるからな。贄ものには丁度いいんじゃねえか!」
「ハハハ! 奴は異世界人が死ぬことを嫌がっているみたいだからな! 我ら4人で奴ごと徹底的に殺しつくしてやろうではないか!」
3人と共にアンズィールは、仮面の男と人間達が大量にいる2階層に向かおうとする。
だが、3人は動かない。
「どうしたのだ?」
「仮面の男は強い。しかも今は強力な結界が張れる厄介な異世界の女もいる」
ここに来て臆病風に吹かれた1人の発言に、アンズィールは激怒した。
「なんだと! 奴の卑怯な戦い方は見破った! もう遅れをとる事はない! 異世界の女と言うのは分からぬが、いくら強い結界を張っても我の力で打ち砕いてくれるわ!」
いきまくアンズィールを3人のうちの1人は、手を木の根に変えて拘束する。
そして口の中にさくらんぼ位の大きさの木の実を押し込んだ。
「がふがふ……貴様らなに……ガフッ」
体内から凄い力が溢れてきた。気持ちもどんどん高揚していく。土壇場で臆病風に吹かれたこの3人など、もうどうでもいい。
自分一人で仮面の男と、それが引き入れた人間達を1匹残らず皆殺しにすればいい。
アンズィールは湧き出る快楽に胸を躍らせながら、意気揚々と2階層に向かっていった。
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ご拝読いただききありがとうございます。
2部一応30話分書いたのですが迷うところがありまして……
またお時間ある時に詳しくお伝えさせて頂きます!
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