第18話 邂逅
世間は
本来なら暦通りに授業はあるのだが、教授が休みを取りたいが為に休講となり、長い連休になることが殆どだ。
同じクラスの
そして
「テンちゃん。俺、チーズケーキも頼んじゃおうかな」
同じクラスの
ここでアルバイトをしていることを何処かで聞きつけてきたのか、2日連続で来店している。
「あら、君たち、すっかり常連さんみたいね」
声を掛けたのはカフェ
旦那さんが経営者で、澄玲さんが店長となっているが、旦那さんは他にも仕事をしているらしく、たまにしか顔を出さない。
「本当は
店長の言葉に「それ正解かも」と言う吉野。
六ッ川が目を丸くして聞く。
「お前、南ちゃん派だっただろ?」
「いやぁ、そうなんだけど。テンちゃんのエプロン姿もいいなぁって」
天は危うくチーズケーキを倒しそうになる。
「それに、スカート姿もなかなか良いじゃない」
「吉野君は人の外見しか見ないのね…」と天は呆れて言う。
天はアルバイトを始めてからスカートを履くようになった。今まではスカートは気恥ずかしく感じて敬遠していたのだけど、マキシ丈のスカートなら脚が見えることもなく、服装のコーディネートの幅も増える。
階段だけは気を付けないと、裾を踏んで転んでしまいそうではあるが…。
チーズケーキをテーブルに置きながら、吉野に「連休なのに何処へも出掛けないの?」と聞いてみた。
「昨日は六ッ川と映画に行ったんだよ。ヴィズニーの最新作」
「そうだったの。今日も映画?」
「いや。今日は大学に…」
「大学? 講義にでも出るつもり?」
ケーキを口いっぱいに頬張って喋れない吉野に代わって、六ッ川が答えた。
「違うよ。大学の講堂で映画の撮影があるらしいんだ」
「そうそう。それを見に行く。あわよくば
「えっ、新川景子って…」
カラン
店のドアベルが鳴り、二人の女性がカフェに入ってきた。
一人は少し年配の、
いや、その後ろにいるのは―———
「えっ?」
「うそ…!」
店にいた全員がすぐに気付き、そして驚いた。
新川景子本人だった。
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