名前はクロ・僕の小さな友達
安保 拓
小さな友達の名はクロ
小学生の時の夏休み。僕は、秋ノ宮の本家に預けられていた。暑く短い秋田県の夏。おばあちゃんの写真が飾られている仏壇の前で寝ているクロにちょっかいをだしていたのは何歳までだろう。クロは真っ黒だからクロ。ある日クロがのんびり寝ていたので、僕はクロを羨ましそうに眺めてから座布団を一枚。クロの上にそっとのせた。全く動かない。なんだか反応がないことがつまんないので座布団をもう一枚。するとクロは尻尾をパタンと一回揺らした。なんだかクロの動きに反応のしてもう一枚。クロはミャっと一鳴きした。だんだん僕は何枚まで座布団をのせられるのだろうと一枚。一枚。一枚。一枚。丁度、七枚をのせたところで、クロがフギャと鳴き声をあげて座布団の下からでてきた。怪訝そうなクロ。僕はクロが長い眠りから起きたのが嬉しくて、猫の頭にチッチッチッと手を当てようとした。その瞬間、クロの右手の爪で手の甲をひっかかれてしまった。一瞬で右手からダラダラと流れる鮮血。そしてクロはシャと鳴くとその場からスタスタと台所の餌場へ向かっていなくなった。流れる鮮血。ひさしぶりに見た鮮血。僕は泣かなかったが、幼いながらに色々いる生き物。動物に対して深く反省をした。クロは、僕の大事な大事な友達だったのに。
「ごめんねクロ、意地悪ないたずらをして。」
名前はクロ・僕の小さな友達 安保 拓 @taku1998
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