「小リーグ一位のラケットが語る日 ~すずらんピック札幌2025~」

「小リーグ一位のラケットが語る日 ~すずらんピック札幌2025~」



メダルの重みより、なかま達の声が沁みた──それが全てだった。

引き寄せるように飛んでくるボール、声、想い、応援──全部が力になった。


前夜、体力回復用の栄養剤と入浴剤を買った。いつもより深く眠れて、朝はスッと起きられた。

パンをひとつ。空腹すぎず満腹すぎず、ちょうどいいラインを保つためのルーティン。


集合場所には行かず、ひとりで会場直行。すぐに見知った顔があって、声をかけると、別病院のなかまだった。近況を交わしているうちに、なかまの杜の皆が到着。

電話が鳴る。「さんきゅさん、どこ?」──「入り口の中にいるよ」って返したその瞬間、みんながドッと現れた。


デフリンピックの代表選手の試合を観に来たというなかまもいて、すげぇと思った。その一方で、出場できなかったなかまもいた。ラケットを貸してでも一緒に戦いたかったけど、今年は叶わなかった。来年こそ一緒に。


前日に買った塩タブレットを配って、卓球部部長としての任務完了。荷物を最小限にして1階の卓球台へ降りた。

練習ではフォア・バックの基本をみんなで確認。開会式が始まると、緊張がじわりと増した。


第一試合、3-1で勝利。

二試合目は応援に回って、なかまが3-1で勝つ姿を見届ける。

三試合目は同じデイケアのなかまと。フルゲームの末、ぎりぎり勝てた。どの試合も成長を感じた。


気がつけば小リーグ優勝。

他の台では「この人強かった」「悔しい」「運がよかった」「やりにくかった」…色々な感想が飛び交っていた。大会の醍醐味って、たぶんこういうことだと思う。


昼休憩。ツナマヨおにぎりを頬張りながら、段ボール卓球を囲む人だかりを眺める。応援のなかま達も集まってきて、誰かが笑いながら「院長、段ボール卓球を買ってくれないかな〜?」って言ったけど、スタッフ曰く「ないですね」。まぁ、だよな。


アヒル屋の人たちと談笑してたら、写真を撮る流れに。金メダル3枚並べて記念写真。楽しかった。

「さんきゅさん、練習しますよ」と呼ばれて一階へ向かうが、急に腹痛。某卓球漫画のキャラじゃあるまいし…と苦笑いしつつトイレに駆け込む。


午後の試合は全障害合同。緊張する中、サーブを駆使して1勝。相手に「サーブ上手いですね」って言われて、ちょっと嬉しかった。

次の試合、サウスポーペンホルダー相手に、一進一退。最後のゲームを落とし、悔しさが残った。


試合後、デッキに戻ると、なかまたちが迎えてくれた。

床に仰向けになった。試合は、練習の4倍疲れる。頭も、体も、気持ちも全部使うから。


最高3回戦まで進んだなかまもいたけれど、その先はやっぱり高い壁。

「強い人ほど練習のラリーはゆっくりだよ」って言ってたなかまの言葉、妙に刺さった。


総合優勝戦は、どちらもスポンサーを背負う選手たちの一騎打ち。両ハンドドライブ型の迫力に、ただただ感動。

代表選手と当たれるレベルに行くには、もっと強くならなきゃ。


最後、ラケットとメダルを並べて写真撮影。なかまのラケットも並べて、静かな祝福。

大会後の打ち上げで食べた料理は、たぶん本当に美味しかった。けど、私は疲れすぎて幻聴が来て、先に席を立った。


戦ったなかま達、応援してくれた人たち、アヒル屋の面々──全部のありがとうが、ラケットの音に重なっていた。

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