フェアリーソウル

@hinahinata

第1話

魂に輝きがあるのだろうか?という質問をすると「ある」と言う学者もいれば、い「ない」と言う学者もいるだろう。

しかし、魂に輝きがあるなら、その輝きを引き出せないだろうか?それか形にできないだろうか?そう思えば、気にはなるものの魂という不確定要素を研究することが不可能だと言えるだろう。


さて、では、なぜこの話が出てくるのかと言うと、今、俺の目の前の現象は信じられない物を映しているからだ。

目の前で輝かしい光を放つ可憐な少女と黒く濁ったナニカが壮絶なバトルを繰り広げているのだから。


「どうしてこうなったあああ!!」


これは叫ばずにはいられない。俺こと来栖鏡(くるすきょう)がこうなった経緯をお伝えしようと思う。時は遡り数時間前、俺はいつも通り学校から帰る予定だった。


「おーい、来栖〜?今日遊ぼうぜ〜?」


こんなふうに話しかけてくるのは、幼馴染·····いや、腐れ縁の加賀晶(かがあきら)だ。


「嫌だよ。今日はバイトなんだから遊ぶ時間がねえって」


「そんなこと言わずによ〜、サボってゲーセンとか行こうぜ〜?」


「お前は、いっつも堕落方向にもっていくね!?」


「しょーがないだろ〜?暇を持て余してるんだから〜、それに人生に一回しかない高校生活なんだから遊ばないと損でしょ~?」


 確かに晶の言う通り高校生というのは遊んでなんぼ世代だと思う。だが、そう思いそうできるのは限られたごく一部であることを忘れてはいけない。


「…はぁ、お前みたいに暇じゃねぇんだよ。また今度遊んでやるから、今日は我慢してくれ…。」


 少し申し訳なく思うが、俺には金がいると自分に言い聞かせ誘いを断るのである。


「も~、しょうがないな~。んじゃ、今度遊んでくれよ~。」


 そう言って晶は、下駄箱の方へと足を進めるのであった。


「さて、バイトに行くか。」



 そうして学校から出て、いつも通りバイトに向かい、何事もなく帰路につこうとしたのだが、そこで事件は起きた。

 ふと周りが暗くなった気がしたのだった。暗くなるというのは、物理的な暗さではなく、空気が凍ってしまったかのような、何とも言えないものだ。


「なんだか不気味だな…。そういえば最近ここら辺で殺人が起きてるって聞くし、さっさと帰るか。」


 そう思い、いつもより歩くペースを速めることにした。だが嫌な予感が消えることはなく、逆にどんどん嫌な予感が増してくるのであった。


「…なんだよ、マジで。」


 そう思いながら早歩きで帰っていると、建物を挟んだ向こうの通りの方で、何か妙な金属音が聞こえてきた。


「……なんだ?変な金属音が聞こえるけど……。」


 普段であれば不良の喧嘩か何かかと思い立ち去るのであるが、その日はどうしてそう思ったのか見に行ってしまった。そう、見に行ってしまったのだ。見に行きさえしなければ巻き込まれることもしなかっただろうに・・・・。

 そこで見た光景は、黒いナニカ…いや人間らしいものが長い爪を地面につけ引きずりながら女性を追いかけていた。


「金属音はあの爪か…。いや、そんなことより、なんであんな危ないやつがこんなとこにいるんだよ!マジでどうなっちゃったんだよこの町は…」


 しかし、あれは助けるべきなのかと思案していると突然、あたりが不気味な色を帯び始めた。


「あぁん?なんだこの変な色は、まるでアニメで見るような結果のような…。」

 

 そんなことを思っていると突然女性の方から声があがった。


「あー、やっとかよ、マジで遅いんだよ。やっと暴れられる」


 そんなことをいい、顔がニヤッと笑っているのがよくわかる。黒髪の美人系のお姉さんだと思ったが、今は獰猛な獣を見ている気分だ。

そんな雰囲気を感じ取ったのか黒いナニカも飛びかかる。それと同時にお姉さんはタバコらしきものを加えた。


「そっちから来てくれるんだ。ありがたいね!!」 


 突然お姉さんの腕から剣のようなものが飛び出してきた。そしてそれを使って爪の攻撃を受け止めるのだった。そして黒いナニカを吹っ飛ばすのであった


「あぁん??なんだこの弱さ、もしかして『出来立て』か?んだよ、それなら最近ここで発生してる殺人鬼ってこいつじゃねえのかよ。」


 まるでつまんねえって言うように剣の柄を方にあてている。

そして黒いナニカが吹っ飛ばされた方向には、俺がいるわけなんですけど。もちろん、目が合うわけだ。そうすると、どうだろう、黒いナニカはニヤッと笑ってこっちに向かってくるではないか。


「おいおい、マジか。こっちに来るなよ!?やばいって!!!」


  身の危険を感じ走って逃げるのだが、ナニカは体を猫のようにしならせ飛び出したのである。


「おい!待ちやがれ!!どこに行こうっていうんだ!?」


 男まさりなお姉さんは、叫びながらナニカを追いかけるが、このままではお姉さんが追いつく前に殺されてしまう。しかし、俺の足はそろそろ限界を迎える。やはり、文科系の人間には運動という行為は、とてもつらいものがある。


「やだ…まだ…死にたく…ないんだああ!!」


 息を切らしながら走って、そのまま叫んだ。まだ、死にたくないんだ。俺はまだ…。


「‥チッ、誰かいたのかよ。協会はなにやってんだよ!!」


 なんだよ、協会って思うものの、このままだと体力がなくなると感じ始めた。

黒いナニカは、初の獲物を追い詰めるのが楽しいのか、もしくは、新しいおもちゃを見つけて遊んでいるのか、緩急をつけて壁を走りながら追ってくる。だが、美人からは絶対に一定の距離を保っている。しかし、俺が少しでもペースを落とすと一瞬でやられてしまうと思いながら走っていると目の前に小石があり、つまずいてしまい転んでしまった。転んでしまった瞬間、頭の中でこれまであったことからやりたかったことまでが走馬灯のように浮かんでいる。

 後ろからキッシシという笑い声が聞こえ、遠くからは女の人の叫び声が聞こえるが何を言っているかはうまく聞き取れない。

わずかに残った体力で「まだ、死にたくない」とつぶやいた瞬間、自分の中から光る何かが出てきたのである。黒いナニカは凄くまぶしいのかこっちに来る足を緩めている。

 そして輝きが落ち着いてくると黒髪の女の子が現れた。服装は制服のような軍服で刀を一振り握っている。しかも片手で

俺が何が起こったのわからずに呆けていると、少女はこちらを見てニコッと微笑みかけ黒いナニカに刀を振りかざした。

金属と金属がぶつかるとても鈍い音が聞こえたかと思えば、何かが落ちる音も聞こえてきた。少し顔を少女に向けると刀は爪らしきものを1つ切り落とし、4本あった爪は3本になっている。

 黒いナニカがそれを見て困惑しているが、すぐに反応しもう一方の腕で攻撃をしようとするが少女はもう片方の手から小拳銃を取り出しこれを防いだ。

そして、少女はため息をつき刀を下から上へ振り上げ黒いナニカを真っ二つにした。


 何が起こったかわからず困惑していると少女がこちらに振り返った。そして光の粒子になり俺の体に入っていった。

その後すぐにお姉さんが追いつき俺に向かってくる。


「おい、テメェなんだ?」


 なんだと言われてもわからずに呆けている、突然意識が遠くなってふらついてくる。そして意識を手放す前に「おい、マジかよ。まさかこれが初かよ」と言っているお姉さんの声が聞こえてきた。本当に何も知らねえよと思いながら意識を手放した。


「変な拾いもんしたなあ」


 そういい鏡を抱えてどっかへ行ってしまった。

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