今を生きる君に送る花言葉

夜桜崎

プロローグ

 『ピーーーー』

 別れを告げる音が病室の中で響き渡った。

 運命というものは時に残酷だ。人に大切なものを与えたり、逆に奪っていったりすることだってある。僕は後者だった。

 なぜなら大好きであった父を中学二年の頃に亡くしたからだ。

 父を亡くしてからは何をするのにも気力が起きなく、父を亡くしてからは母と妹の三人暮らしになった。母は父を亡くしてからショックで倒れてしまい半年間入院していたが今ではすっかり元気になり、笑顔が増えたが、どこか悲しそうな顔を時々する。

 妹は僕の二歳下で、父が亡くなった時は小学校六年生であった。妹は父の葬式の時にとても泣いていて、葬式が終わった後でも泣いていて笑うことが減っていたが、今では中学に入り、友達もでき、笑顔が増えていくようになった。

 対して僕は高校二年になっても心にぽっかり開いた傷は《おさま》治ることのなく、授業を受けたとしても、集中できずに終わり家に帰る、というような毎日を過ごしていた。

 でもそんなつまらなかった毎日は気づけば終わっていた。そう、君に出会ってからは——

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今を生きる君に送る花言葉 夜桜崎 @yozakurasaki

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