シェアハウスの怪

連喜

第1話 問合わせ

「すみません。江田と申しますが…Faceboo*みたんですが」

「ありがとうございます」

「部屋の空き状況をお聞きしたいんですが」

「現在一室空いてますが、複数申し込みをいただいておりまして、抽選とさせていただきます」


 抽選か…。俺はがっかりした。俺は人生を通じて籤運は最悪だった。


 俺はもともと都内の一戸建てで暮らしているのだが、以前からシェアハウスで暮らしたいと思っていた。理由は自分に何かあった時に、手助けしてくれる人が欲しいからだ。


「でも、もし、可能でしたら見学させていただけませんか?…一応、申し込みをしておいて、空室が出たらご連絡いただくことは可能でしょうか」

「はい。それは大丈夫です」


 俺は喜んで見学に行くことにした。そのシェアハウスは、普通の物件と違って、ある一定の層の入居者を集めた物件であるというのを知っていたからだ。独身であること。安定した職業についていることと、年収条件もある。しかも、二十代の女性もいるらしい。


 一戸建てを売る決心は付かないが、先にシェアハウスで暮らしたかった。最近は寒くなったし、周囲で亡くなった人が立て続けでいたので、不安が募っていたこともある。俺がもし家で倒れても、会社の人なんて「あの人、来てないな」と思うくらいで、家まで訪ねてはくれないだろう。

 

 シェアハウスの家賃は6畳の個室が月4万円だった。風呂は交代で使用。キッチンは自由に使用できるが、順番待ちをするか一緒に作らなくてはいけないだろう。水道光熱費は別途必要だし、周辺相場と比べても割安感はあまりない。


 俺は共同生活が苦手だから、協調性を養うためにも、シェアハウスを選んだのかもしれない。正直言って、自分が何を考えているか、何を仕出かすかわからない。常に思いつきで行動しているのだ。

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