第7話 初のエリアボス1

「ふっ!」

 

ドスッ


 グリーンウルフの眉間に拳が突き刺さり吹き飛んでいく。

 すると、光の粒子へと変わっていった。


「ふぅ~。結構レベル上がってきたなぁ」


「少しHP減ってるわね。この位だと回復薬使うの勿体無いし、魔法で治してあげるわ」


「ヒーリング!」


 天から降かかる光に体を包まれる。

 HPが回復していく。

 身体が仄かに暖かい気がする。


「温かい。ありがとうモー二」


「回復は任せてくれていいわよ」


 プイッとそっぽを向くが耳が赤くなっている。

 いったいどうしたんだ?

 柄にもなく恥ずかしがっちゃって。


 レベルは8まであがってる。

 序盤は上がりやすいのか?

 その方が助かるけどな。


「フーマ、どのくらいレベル上がった!?」


「8レベルまで上がったよ。悪いな。付き合わせちゃって」


 みんな俺のレベル上げに付き合って着いてきてくれていた。

 そう言えば、みんなレベルどれくらいなんだろうか?


「そういえばさぁ、みんなレベルいくつなの?」


 よくわからないけど、装備を見る限りかなり進んでいるんじゃないかと思うんだけど。

 どうなんだろうか。


「俺は、23レベルだ! 半年くらい前からやってるからな! 基本ソロか、野良パーティだから、そこまで高くない方だぞ」


 ウルフを切りつけながら答える。

 時折盾で弾き飛ばしたりしながら距離を保って攻撃している。


 野良パーティ組んでプレイしてたのか。

 ガントはすごい。

 俺にはそこまでの社交性はないと思っている。


 このゲームで社交性も少しいい方向に向かって欲しいなぁとは思う。

 ガントはそういう所何の気なしにできちゃうからすげぇんだよな。

 と感心していると。


「フーマよりは私の方がまだまだ上よ!? 18レベルなんだから!」


 なんでそんなに偉そうなんだ。

 エッヘンといった感じで腰に手をあてて自分の方が上だぞとアピールしている。

 

 胸張るなよ。

 目がいっちゃうから。

 そこはリアルと同じなんだろうけど。


「私……20レベ……敵を殲滅する……それが仕事」


 イブが不敵に笑ってる。

 殲滅とか穏やかじゃないなぁ。

 コワイコワイ。


「この辺だとそろそろ、レベル上がんないから、エリアボス倒して次のセカンテナまで行っちゃおうぜ!」


「待って! そろそろ1回ログアウトしましょう。リアルではお昼だし、警告出ても嫌だもの」


一同は1回ログアウトする為、ファステイアに戻った。戻った一同は一旦ログアウトする。


「ふー。ゲームって楽しいな。こんなに楽しいもんだとは思ってなかった」


 ヘッドギアを外して起き上がる。

 少し身体を伸ばしたり屈伸したりしながら解していく。


 下に降りて冷蔵庫を開けるとサラダチキンと野菜を取り出す。

 親は基本的にはいない。


 仕事に出ているからほぼ俺は一人でいることが多い。

 一応空手をしている間は身体にいい物を食べようと心掛けている。


 サラダチキンでタンパク質をとり、野菜でビタミンをとっている。

 プロテインはあまり飲んでいない。

 何となくお金を掛けたくないからっていう気持ちがあってなんだが。


 ゲームにお金かけてるなら買えよと思うかもしれないが。

 これは気分転換だからいいんだ。

 気持ちが上向きにならないと何もやる気が起きないからな。


 スマホで少し情報を集めながら食事をとる。

 なになに? 最初のボスはデカいクマだと。

 うーん。魔法が効果的なのかぁ。

 

 俺魔法全然使ってねぇじゃん。

 あれ?

 魔法の使い方分かんないけど。

 まぁ、どうにかなるか。


 飯は食った。

 食器を洗って拭いて元の位置に戻す。

 これやっておかないと母さんがうるさいんだよなぁ。


 その後、ログインする。

 ちょっと早かったみたいだ。

 少し待っている間に魔法を使ってみる。


 たしか、イメージで発動するって書いてたっけ。

 イメージね。

 風よ吹けー!


ブオオォッ


 おぉー。風でたじゃん。

 すげぇな。

 こんなことできんだ。


 魔法使っちゃったよ!

 やった!

 

「ん? 何やってんだ? フーマ?」


「おっ? 来たか。ごめんごめん」


 みんな来ていたみたいだ。

 戻って合流する。

 

「よしっ! 気を取り直してエリアボス行こうぜ!」


「「「おぉー!」」」

 

 時おり出てくるウルフやホーンラビットと戦いながら森の奥へ進んでいく。


 森の雰囲気が変わった。

 空気がピリついている。

 周りにはモンスターが居ないみたいだ。


 シーンと静まり返っている。


 更に森の奥に進むと3mくらいの大きなクマが立ち往生していた。

 あれがさっき調べたでかいクマだな。

 たしかにでけぇ。


 あれがエリアボスか。

 威圧感が半端じゃないな。

 やるしかない。


 初めて見るエリアボスに圧倒される。

 これがボスか。

 やり甲斐があるってもんだな。


「流石にエリアボスでは、パーティで戦おう」


――――――――――――――――――――

ガントからパーティへのお誘いが来ています。

              Yes/No

――――――――――――――――――――


 Yesっと。

 タップするとみんなのHPが表示された。


 改めて考えるとバランスが良いんだよな。

 騎士のガントが壁として敵を引き付けて、武術士の俺がアタックして、回復は神官のモー二がいる。

 遠距離攻撃は魔術士のイブが高火力でぶっぱなせる。非常にバランスが良い。


よしっ! さぁ戦闘だぁ!

 

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