オサムさんは…

@J2130

第1話 〇〇〇〇工作

「つまり俺はオサムと京都に行ったことになっているんだね」

 電話でヨット部の同期のオサムに僕は言いました。



「悪い…本当に申し訳ない…」

「いいよ…お土産もいらないけれどさ…」

「買ってくるよ…生八つ橋でいい…?」

「いらないけれど…オサム…」

「なに…?」





「自分だけ幸せならいいのか…」




 大学四年生のときだったかな…

 オサムから電話があり、

 要は彼が “彼女” と旅行に行くのだけれど、僕と男二人で行ったことにしてくれ…

 もし親からなにかあったらそう応えてくれ…

 とのご依頼でした。


 アリバイ工作じゃないけれどね…

 だけどな…

 僕は結局大学四年間、

 彼女はいませんでしたから。



 オサム…幸せでいいね…

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