第5話 宇宙人 ナ・ム・サン
さて、喫茶店の営業が終了し帰宅した、えっちゃんと入れ替わりに約束通り
一凜署長と宮田ミキが店にやってきた。
「ハアーイ、とりあえずビールふたつ」と一凜署長。
ミキも、いつもの優しい笑顔だった。
健一は
「晩ご飯まだでしょ、ナポリタン、ハンバーグとチャーハン、野菜サラダにポテトサラダ、で今週最後の、お味噌汁、あとチーズとサラミ用意しておきましたよ」
「へぇー、気がきくじゃない、でもこんなにいらないかも」と署長。
「僕も食べますから、足りないくらいですよ、冷凍ですけどタコ焼きなんかもありますから、で、今日は何の話です」
「うーん、それが長くなるわよ、話」そして署長は天井を見上げると
「アガルタ・ロック」
その声に反応して店の天井裏で
―ゴン、ギューンンンーと作動音がして、店の外が少し暗くなった。
『アガルタロック』とは、対象となる建物の
このほか未知の不思議な力には
「ヤハウェイマジック」創造神によると思われる人間などの消失現象。
「ヤハウェイブレーキ」創造神によると思われる行動の制限・時間の静止現象があるが、これは正確にはアガルタのテクノロジーとは無関係であった。
健一は周囲の異変を不思議に思い
「署長、何です?今の、そのアガなんとかって」聞いてみると
「それよ、今日の大事な話って、あんた少し飲んどいたほうがいいわよ、
それと今ここに、珍しいお客さん呼ぶから驚かないでね」
署長の笑顔は綺麗だった。
ミキも黙って食事しながら
『うんうん』と頷いている。
「珍しいお客さん?誰です?」と健一。
署長は少しため息をつくと話し始めた。
「あんた、宇宙人のグレイってわかる?」
「あーなんとなく解りますけど」
「どう解ってる?」
「えーと背が小さい銀色?の黒い大きな目玉で・・・」
言葉を遮るように署長が言う
「あっそう、銀色じゃないわよ、じゃ今ここに呼ぶから、落ち着いて騒いだり取り乱したりしないでね、わかった?」健一に指を差した。
「ええっ?はあ・・・わかりました」
署長は立ち上がると、店の中央に立ち
―パンッ
両手を合わせ
「
すると署長の足元から、まばゆい光が発生すると抜け出るように
三人のグレイが床板から伸び上がってきた。
―グワグワグワ
出現に合わせ音がする。
あの、グレイ宇宙人が目の前に突然現れた。
「うぉっ」健一は突然の超常現象に面食らった。
「うー、うわ、うわあー」 数歩あとずさった。
一凜署長は何かやる人だとは思っていたが、宇宙人を呼ぶとは
今、自分は夢を見ているのかと健一は少し自分の太ももを
『痛い・・・な』
食事していたミキが立ち上がり三人のグレイに近づくと
「イエーイ、久しぶりぃー」ブラザークラップでグレイたちと挨拶し始めた。
そのグレイは三人とも同じ顔をしているようだった。
身長は150センチ程と思われ
大きな頭に大きな黒い目、そしてバランス的には小さいが鼻が突き出ていて唇は無いが表情豊かに動く小さめの口があり、歯も生えている。
なかなかハンサムだ。
「あーハラへった」
グレイ三人は、いきなり健一に日本語で注文を出した。
「おい健一くん、じゃ、とりあえず瓶ビール三本、それと冷凍でいいからピザとパスタと、たこ焼きね、早く早く腹減ってんだよこっちは」
呆然と健一はバカ
ミキがビールの準備を始め
「健一、ピザ、はやく温めて」と促した。
「あ、ハイ」オロオロと冷凍食品の準備を進めていると
署長とグレイたちは、何やら話を始めた。
「姫様よ、ヌンチャクの使い方教えてくれよな、あたぁーーーっ!」
拳法の構えをして動いた。
「あれ、戒道さんは?」と署長
「いーや戒さんはよ、まず基礎からだとか、なんだとか遊ばしてくれねぇんだよ」
「んだ、んだ」ほかのグレイが
グレイ3人は店の特等席ソファーに腰掛け、テーブルに食事の準備をしながら一人などはタバコをくわえていた。
人数分のビールが用意され
「それじゃ、とりあえず乾杯ね、健一の覚醒を祝ってカンパーイ!」
ミキの号令でいつの間にか6人の宴会が始まった。
続いて署長が
「健一、じゃ、この3人紹介するわね、奥の彼がムーさん、真ん中がナーさん、で、こちらがサンさんね」
3人のグレイは
「よろしくなケン坊」サン
「よろしく」ナー
「お、よろしくだ、なぁサクラ」ムーが言った。
目の前の光景が、まだ信じられない健一はグラスを持つグレイの手元を見つめて観察を始めた、長い親指に長い人差し指など合計4本の指があった。
ムー「そんなにジロジロ見るんじゃないよ、なぁサクラ」
ナー「誰がサクラだ」
サン「まぁ、最初は珍しいさ、俺たちだって最初はビビったもんさ」
3人は実に
するとムーさんが言った。
「俺たちは神の使いだ」
「ンフフッ、あいかわらず愉快な3人ね」と笑顔でミキが言う。
健一が口を開いた
「あ、あのー、イ、イメージではグレイのボディだったんですけど服着てるんですね、ブーツも履いてるし」
すると端のムーさんが口の中のチャーハンを飲み込んで言う
「あのね、原始人じゃないんだから当たり前でしょ、それにこれは服じゃなくて多目的ボディスーツと呼んでもらおう、なぁサクラ」と言った途端に
真ん中のナーさんが
「チッ」舌打ちをしてキレて左手をムーさんの顔の前に持っていくと
―バチッと火花をちらした。
「あっちいぃっ!あっついべや、てめぇなにしやがる」
ムーさんが怒って立ち上がるとナーさんも立ち上がって言った。
「あのな、何見たのか知らねぇけど
さも俺は今、面白いモノマネしてます、みてぇなするたんびに
イラッとすんだよこっちわあ、俺はサクラじゃねぇ!」
「かてぇ事いうなよ、そんなナーさん、きぐしねくて、やんだオラ」
今度は身をクネクネしてムーさんがナーさんを挑発するかのようにしなだれかかった
「このっまだ言うか!」
健一には仕組みが解らないなりに、このグレイ宇宙人には何かしら
人類の知りえない「超能力」がありそうなのは一目瞭然だった。
そして、この黒い
ふたりは取っ組み合いになり、床に転がり込むと、お互い柔道技の掛け合いのようになった。
「うぐっこのぉー」
「なにおーっ、このこの!」
すると取っ組み合いを横目にサンさんが健一に話しかけた。
「健一、面白いだろ、この二人。この間なんか絞め技の掛け合いで30分も固まって二人共動けなくなったんだから、アホだな」
「アハハハハハっ」
ミキは爆笑していて、署長が二人を止めに入った。
「はいはい、もうわかったから、ピザ冷めちゃうわよ、ほれパスタも食べなさい」
食べ物を横目で見ながら取っ組み合いになっていた二人はさっと離れると、ピザとパスタに、すごい勢いで食いついた。
「たくさんあるから・・・ゆっくり食べなさいな」
「うまい、うまい」暴れ食いの三人
「お、おう、いつも悪いな姫様」3人のグレイは、どこか懐かしいような人間味のある暖かい空気に包まれた宇宙人だった。
本来、グレイは物を食べない。
この三人は発っての願いでアガルタの
地球人類のように「食べる」事を希望した「飢えた
そして、食べることにより持ち得る力を強めることも可能だった。
健一が口を開いた。
「署長、この3人のグレイさん、どんな国の言葉も、こんな感じで上手く話すんですか・・・・」
「あー、このナムサンは特別、3人とも元、大日本帝国の軍人だったから」
「え?日本軍人・・・」
「わけわかんないでしょ、だから今日、時間かけて説明するから
わからないことは、その都度質問して、それじゃ、まず、この薬飲んで」
署長は透明なカプセルを健一に飲めという。
「頭の良くなる薬で害はないから理解力と記憶力が増す薬よ」
カプセルの差し出された手のひらは美しく、指は細く、ひ弱な印象さえあった。
サンが言う
「署長、その長い話の間、俺たち3人、二階の健一の部屋でTVゲームやってていいかな」
ナーさん
「いや、俺はゲームより、ここで映画・盲目の市、見たいんだけど・・・」
「いいけど、グレイ宇宙人がTVゲームするの?」
「やりますよ、普通に。あのゾンビがいっぱい、なだれ込んで襲って来るやつあるか健一?」二階を指差す。
「あー多分、あります」
健一は、あわてて作り笑顔。
ナーさんは喫茶店内で一杯やりながら日本映画を見始め。
ムーさんとサンさん2人は二階に移動して、一凜署長が、順序建てて話を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます